腕立て伏せで足のアングルを変えるとターゲット部位への効果は変わるのか?

腕立て伏せで足のアングルを変えるとターゲット部位への効果は変わるのか?

赤羽(Akabane)

今回は「腕立ての脚のアングルで効き目はどう変わるのか?」というお話です。

腕立て伏せで足上げの角度を変えるとターゲット部位への効き目は変わる?

早速ですが、最近この問題について面白い研究が出ていたので見ていきましょう。

脚のアングル別!腕立て伏せの筋肉への効き目はどう変わる?

これは2019年にU1大学が発表した研究(#1)で、15名の健康な男性(平均22歳)を対象に、腕立ての脚のアングル別の効果を比べたもの。

この実験では、まず腕は肩幅で地面に、脚のアングルを「70°、90°、110°」の3パターンに分けました。

方法としては、足を昇降式のマシンに乗っけて高さを調節していて、筋肉の部位は大胸筋、前鋸筋、僧帽筋の活動を調べたようです。

するとこの結果、こんなことがわかりました。

結果
  • 大胸筋、僧帽筋上部への刺激は脚のアングルで大差なかった
  • 前鋸筋への刺激は110°で最も大きくなった!

どうやら脚のアングルを高くすれば前鋸筋への効き目は増すみたいですね。

こうした結果は1998年の研究(#2)でも得られていて、腕立て伏せで脚の角度を高くすると、肩関節への負荷が高まって、結果として床反力も増えるという結論でした。(足上げの分の肩関節への負荷で肩をすくめる動作になる)

今回の結果をどう解釈するか?は人それぞれですが、腕立てのメインターゲットである大胸筋への効き目が変わらないならば、敢えて脚のアングルを変える必要もないのかな?と思います。

(#1)より引用。

ただ、前鋸筋は面積が小さいながらも前から見たときにかなり目立ちます。脇腹のギザギザはぱっと見でも絞れている印象を与えますし、この部位を意識したい方は脚を高めに置いた腕立てをやってみてもいいかもしれません。

注意点・まとめ

ただ、今回の結果は健康な若い男性のみを対象にしていて、女性や高齢の方だと事情は変わってくるかもしれません。(骨格や筋力の違いなど)

では以上を踏まえて今回の結果をまとめます。

ポイント
  • 腕立て伏せで脚のアングルを変えると前鋸筋への刺激が高まる
  • 大胸筋、僧帽筋上部への効き目は大差なし
  • 若くて健康な男性のみ対象なので一般化できるか?はまだ分からない

赤羽(Akabane)

ポイントは、脚を高めに置く他、腕を曲げるんではなく肩甲骨を寄せて胸を床に近づけるイメージです。腕立て伏せについては以下も併せてご覧になると良さそうです。

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参考文献&引用

#1 石井直方、岡田隆著『筋力トレーニングメソッド 5つのコツでカラダが変わる!』高橋書店、2011年。

#2 Lee S, Kim J. The effect of leg angle during push-up plus exercise on shoulder stabilization muscle activity. J Phys Ther Sci. 2019 Jan;31(1):33-35.

#3 Lear LJ, Gross MT: An electromyographical analysis of the scapular stabilizing synergists during a push-up progression. J Orthop Sports Phys Ther, 1998, 28: 146–157.