赤羽(Akabane)
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ペットの犬にも健全なメンタルヘルスのために活発な「犬付き合い」が必要だ!
新型コロナの影響で何かとソーシャルディスタンスが騒がれる昨今ですが、同時に人付き合いが減ることで、孤独やストレスといったメンタルヘルスの問題も持ち上がってきています。
しかし、こうした問題は人類に限った話ではないようです。今回は「健全なメンタルヘルスのためには犬にも充分な『犬付き合い』が必要かも?」というデータを見ていきます。
ペットの犬にも「犬付き合い」ができる社交的な場があった方がいい!という調査結果
2020年にヘルシンキ大学が発表した研究(#1)によると、ペットの犬にも人と同じように犬付き合いや活発なアクティビティが必要!ということが分かりました。他にも幾つか面白い知見があるので、順を追って見ていきます。
この研究では、フィンランドに住むペットの飼い主にアンケート調査を行い、13,700匹(平均4.8歳)のワンちゃんのデータを分析しています。
具体的には、「恐怖症」に焦点を当てていて、以下のようなラインナップになっていました。
- 雷への恐怖…9,513匹
- 花火への恐怖…9,613匹
- 高所や表面への恐怖…2,932匹
- 新奇な状況への恐怖…6,945匹
そして、上記の恐怖症と犬の年齢や普段の活動、去勢の有無、飼い主のステータス、他の犬との交流頻度などを照らし合わせ、どんな関係性が見られるか?をチェックしています。
すると調査の結果、以下のようなことが分かりました。
- 上記のような恐怖を感じやすい犬は、子犬時代に他の犬との社交的な付き合いが少なかった
- 他にも、若かったり、去勢されていたり、経験の浅い飼い主に飼われていたり、同種と一緒に暮らしていなかったり、アクティビティや訓練などにもあまり参加していなかったり、都会に住んでいたりといった特徴とも関係していた
- 小型犬の方がこうした恐怖を感じやすい傾向があった(コーギーやケルンテリア、チワワなど)
ザックリまとめると、犬のメンタルにも人間と同じように同種との付き合いや活発なアクティビティへの参加が大切!という感じでしょうか。
また面白いのが、都会暮らしや運動不足といった、人間にとっても近年問題視されている要素まで同じようにメンタルヘルスに影響している可能性があるということ。この辺り、人間に近しい生物にも割と同じことが言えるのかもしれませんね…。
注意点・まとめ
ただし注意点として、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 因果関係を実証するものではない: 実験のデザインの性質上、社交的な関わり不足→犬の恐怖症といった因果関係を裏付けるものではない
- オンラインでの調査のためデータの精度は低いかも: セルフレポートでの調査データには主観が混じりやすく、更に標準化された調査手法ではないため、正確性にはいまいち欠ける
- 調査の対象はフィンランドのみ: 国の文化や生活様式なども当然関わってくる話なので、他の文化圏での調査も今後は必要になってくる
研究分野としてはまだまだこれからという感じですが、ワンちゃんの飼い主さんには十分参考になるデータですね。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- ペットの犬にも健全なメンタルヘルスのために活発な「犬付き合い」が必要だ!
- 今回の調査によると、幼い頃に他の犬との関わりが少なかったり、訓練やアクティビティへの参加が活発でない犬は、雷や花火、高所への恐怖を感じやすい傾向があった
- 他にも、若かったり、去勢されていたり、経験の浅い飼い主に飼われていたり、同種と一緒に暮らしていなかったり、都会に住んでいたりといった特徴とも関係していた
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Hakanen, E., Mikkola, S., Salonen, M. et al. Active and social life is associated with lower non-social fearfulness in pet dogs. Sci Rep 10, 13774 (2020). https://doi.org/10.1038/s41598-020-70722-7