筋トレでオールアウトすると直後の神経筋のパフォーマンスがダウンするみたいだ

筋トレでオールアウトすると直後の神経筋のパフォーマンスがダウンするみたいだ

赤羽(Akabane)

今回は「筋トレでオールアウトすることのデメリット」についてのお話です。

筋トレでオールアウトすると直後の神経筋のパフォーマンスがダウンするみたいだ

オールアウトとは、各セットで「もうこれ以上は挙がらない…!」という限界まで追い込むテクニックでして、極限まで追い込みたいトレイニーたちには人気のやり方ですね。

感覚的には効いてる感じがして効果がありそうに思えますが、最近では「筋力アップには良くない」であったり、「疲労しすぎてその後のセットに影響するから、全体のボリュームは落ちるのでは?」といった指摘もあります。

というわけで、この記事ではオールアウトのデメリットについて、もう一つ見ていきます。

オールアウトで追い込んだ直後はやはり神経筋のパフォーマンスが落ちるみたい

2020年にブラジルの研究チームが発表したランダム化クロスオーバー試験(#1)によると、筋トレでオールアウトすると、直後の神経筋のパフォーマンスが落ちてしまうことが分かりました。

この研究では、22名の筋トレ経験者男性(平均21歳)を対象に、以下の2つのパターンをこなしてもらうという実験を行ったようです。

  • オールアウト: 各セットは限界まで追い込む(12RMの強度で12回×4セット、インターバル3分)
  • ノットオールアウト: 12RMの強度で8回×6セット、インターバル3分

*種目はパラレルスクワットで、ボリュームや強度、インターバルの時間は揃えた

念のため、前のパターンの影響を引きずらないため、間には一週間の期間を空けたようです。結果の項目としては、カウンタームーブメントジャンプ(以下ジャンプ)とスクワットの最大パワー(12RMの70%)を測定したようで、実験前・直後15秒、10分・20分・30分の計5回測ったみたいです。

そしてこの実験の結果、こんなことがわかりました。

結果
  • オールアウトをした直後は、そうでない時よりもジャンプと最大パワーが有意に落ちていた
  • オールアウトをしなかった場合には、ジャンプや最大パワーのスコアは10分間休めば実験前と同じに戻った
  • 一方で、オールアウトをした場合には、20〜30分休んでも実験前と同じには戻らなかった

(#1)より引用。黒点がオールアウト、白点がノットオールアウトのパターン。PPは最大パワー、CMJはジャンプ。

ここから言えることは、オールアウト直後の数十分はパワーなど神経筋領域のパフォが落ちる!ということでしょう。ちなみに、筋トレの総ボリュームは両者で結果的にほぼ同じとのことで、この辺りの差が影響している可能性は低そうです。

また、当然のことながら、オールアウトの方が主観的にもキツいと感じることが分かりまして、神経の疲労と同時に、精神的な疲労も溜まりやすいのは間違いなさそうです。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ざっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意
  • サンプルサイズは小さい: 参加者が少ない分、統計的なパワーは弱くなる
  • サンプルや実験デザインに偏りがある: 参加者が若い筋トレ経験者男性だけであったり、測定対象も下半身のパワーのみなので、どこまで一般化できる内容なのか?という課題は残る

他にも、筋電図などで実際の筋肉の活動が見れたらなぁ…みたいな課題もありますね。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 筋トレでオールアウトすると直後の神経筋パフォーマンスが落ちるかもしれない
  • 今回の実験では、パラレルスクワットで限界まで追い込んだ場合、その直後のジャンプや最大パワーテストのパフォーマンスが有意に低下していた
  • こうした神経筋のパフォーマンス低下は、精神的な疲労度もリンクしている可能性があり、オールアウトによる影響はその後20〜30分経過しても続くことがわかった

赤羽(Akabane)

個人的にも、色々な研究を見てきて、オールアウトまで追い込む必要はないかなと思います。筋力を高めたいのもありますし、そこまでしなくとも筋肥大するし…という感じです。

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参考文献&引用

#1 Fabiano S.Fonseca, Bruna Daniella de V.Costa, Maria Elisa C.Ferreira, et al. Acute effects of equated volume-load resistance training leading to muscular failure versus non-failure on neuromuscular performance. Journal of Exercise Science & Fitness, Volume 18, Issue 2, May 2020, Pages 94-100.