「お酒は筋トレの成果を低下させるよ」という話の本当のところは?裏側にあるメカニズムを解説

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「お酒は筋トレの成果を低下させるよ」という話の本当のところは?裏側にあるメカニズムを解説

「お酒は筋トレの成果を低下させるよ」という話の本当のところは?裏側にあるメカニズムを解説

今回は「お酒で筋トレの効果が下がっちゃうよ!問題」についてのお話です。
 
 
この話は有名で、「お酒を飲んじゃうと筋肉がつきにくくなる!」とか「分解されちゃう!」みたいに言われています。ただ詳しいメカニズムについては触れられないことも多いんではないかと。
 
 
ということで、ここからはお酒と筋肥大の関係について詳しく見ていきましょう。
 

アルコールによる筋肉への影響とは?

参考になるのが2014年にパレルモ大学が発表したレビュー研究(#1)で、アルコールが筋肉の成長に与える影響についてまとめてくれています。
 
 
本題の前に一つ、筋肥大が起こる前提条件をおさらいです。

 
「お酒は筋トレの成果を低下させるよ」という話の本当のところは?裏側にあるメカニズムを解説
 

体内では絶えず筋肉の合成(同化)と分解(異化)が行われていて、このターンオーバーの割合が合成に傾くことで筋肉は大きくなる、というのが定説です。
 
 
そして、アルコールがこのターンオーバーに悪影響を与えてしまう経路にはザっと以下の5つが挙げられます。
 

テストステロン

まず筋肉といえば!のテストステロン、アルコールはこの分泌を邪魔することが分かっています。経路を挙げると、精巣のライディッヒ細胞という、テストステロンを放出する細胞の働きを妨げたりして分泌に悪影響を与えることが分かっています。
 
 
ただテストステロンの分泌に関してはアルコールの量に左右されるみたいで、実験で1.5g/kg以下の量だった場合は逆に増加する傾向も見られたようです。
 

コルチゾール

コルチゾールは、ストレスホルモンとして有名な副腎から分泌されるホルモンで、一時的な分泌は体を興奮状態&臨戦態勢に持っていくのに不可欠ですが、慢性的な分泌は筋肉の分解や体内の炎症に繋がります。
 
 
そしてアルコールは飲んですぐにコルチゾールレベルを高めることが分かっていて、その後最大で24時間までは高止まりし続けることが分かっています。「アルコールは筋肉を分解させる!」の代表的な経路ですね。
 

成長ホルモン&黄体形成ホルモン

子どもの身長の話でよく出てくる成長ホルモンと、性腺を刺激する黄体生成ホルモン、これらもアルコールによって分泌が阻害されるようです。
 
 
成長ホルモンは筋肉の発達にも欠かせないですし、黄体形成ホルモンも男女でテストステロンやエストロゲンといった性ホルモンの分泌を促すのに欠かせないホルモンです。
 

インスリンやインスリン様成長因子-1(IGF-1)

インスリンはダイエットや糖尿病の話でよく登場するホルモンですが、筋肉に関しても重要な役割を担っています。IGF-1はインスリンと構造が似ていて、成長ホルモンによる刺激で分泌されるホルモンの一種です。
 
 
どちらも結果的には筋肉の合成を促しますが、この働きもアルコールによって邪魔されることが分かっています。
 

mTOR

そして最後に、アルコールは「mTOR(mammalian Target Of Rapamycin)」というシグナル伝達回路の活性までも邪魔します。
 
 
mTORは上で挙げたテストステロンや成長ホルモン、インスリン、IGF-1などの分泌を受けて活性化するので、当然この部分のシグナル伝達も鈍くなってしまいます。
 

まとめ

ということでザっと5つのメカニズムを見ていきました。どちらかというと、筋肉の合成を促進する要素が阻害される経路が目立ちますね。
 
 
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

 

お酒(アルコール)が筋肉に悪影響を与えるメカニズム
  • テストステロン分泌を阻害
  • コルチゾール分泌を増加
  • 成長ホルモンや黄体形成ホルモン分泌を阻害
  • インスリンやIGF-1分泌を阻害
  • mTORの活性を阻害
 

こんな感じでしょうか。それぞれの要素が複雑に絡み合って筋肥大が起こっているんだ、ということもよくわかりますね。

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赤羽(Akabane)

まとめるとお酒は筋肥大に悪影響を与える可能性大!でした。とはいえ試験官実験や動物実験が多いのが現状で、具体的にどのくらいの量でどの要素に悪影響が出始めるのか?といった細かい部分もハッキリとはしていません。

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参考文献&引用

#1 Antonino Bianco, Ewan Thomas, Francesco Pomara, et al. Alcohol consumption and hormonal alterations related to muscle hypertrophy: a review. Nutrition & Metabolism volume 11, Article number: 26 (2014).