赤羽(Akabane)
目次
高齢者が筋トレで最適な効果を出すための【筋トレ頻度・強度・内容】
早速ですが、この問題について参考になる研究データを見ていきましょう。
筋肉が衰退していく高齢者が筋トレでしっかり効果を出すための最適な頻度・内容
2017年にアラバマ大学 – バーミンガムが発表したRCT(#1)では、64名の高齢男女(60~75歳)を対象に、筋力アップや筋肥大でベストな成果を出すための筋トレ頻度や強度、内容を調べた実験を行っていました。
まず実験では、対象の高齢者たちを次の4つのトレーニンググループに分けました。
- 高強度収縮伸張トレーニング週3日(HHH):高強度の筋トレを各種目8~12レップを3セットずつ行う
- 高強度収縮伸張トレーニング週2日(HH):高強度の筋トレを各種目8~12レップを3セットずつ行う
- 高強度収縮伸張トレーニング週2日 & 低強度高速収縮トレーニング週1日(HLH):低強度の筋トレは高強度の2/3の強度で、12レップを3セットずつ行う(高強度は上2つと同じ内容)
- 高強度収縮伸張トレーニング週1日 & 低強度高速収縮トレーニング週1日(HL):低強度の筋トレは高強度の2/3の強度で、12レップを3セットずつ行う(高強度は上2つと同じ内容)
グループ間で変えているのは、①週当たりの頻度と、②間に低強度のトレを入れるかどうか?の強度、そして③コンセントリック(収縮)かエキセントリック(伸張)か?という筋肉への刺激の与え方、この3つです。
で筋トレの期間は全グループで同じメニューをやる事前期間が4週間、グループごとにやる本番期間が30週間という感じ。肝心の種目は胸や脚、背中、上腕など全身まんべんなく鍛えていて良さげな内容でした。
食事の面では、一日に2回ホエイプロテインを飲んでいて、食事記録は4日ごとに報告する流れでした。
そして各グループの実験前後での筋力や筋肥大、疲労、筋肉の動員などを測定した結果、こんなことが分かりました。
- HLHで最も筋肥大効果が見られた
- 上半身はHHH、下半身だとHLHが最も筋力アップ効果が見られた
- HLは筋肥大、筋力アップ、でもパッとしない結果だった
まとめると、高齢者が最適な効果を出す筋トレは高強度と低強度を織り交ぜた週3のトレーニングだったんですね。特に筋肥大では、全身の筋肉量や太ももの厚さで言うとHHHやHHと比べても2倍近く増加が見られました。
一方でHHHもなかなかの効果が出ていて、上半身の筋力アップや、歩くスピード、床から立ちあがるまでの速さなどはこちらに軍配が上がりました。
注意点・まとめ
ただし今回の研究にも注意点があって、サンプルサイズは小さくてその分統計的なパワーは弱くなります。また対象は健康な高齢者なので、慢性病患者などの場合はまた最適なトレーニングが変わってくると考えられます。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 高齢者が筋トレで最適な効果を出すための頻度は週3で高強度を2回、低強度の収縮トレーニングを1回がベストかも
- 逆に週2だと全体的に効果が出にくかった
- 実際にやってみて、自分に合うようにカスタマイズは必要
こんな感じでしょうか。週2よりも週3!というのはボリュームが大事だという昨今の説とも一致しますね。
赤羽(Akabane)
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#1 Stec MJ, Thalacker-Mercer A, Mayhew DL, et al. Randomized, four-arm, dose-response clinical trial to optimize resistance exercise training for older adults with age-related muscle atrophy. Exp Gerontol. 2017 Dec 1;99:98-109.