赤羽(Akabane)
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人生の意味を持っているかどうか?は老後の早死にリスクのカギかもしれない
タイトルが仰々しいですが、これは一応最近発表された研究が元になっています。早速中身を覗いていきましょう。
アメリカの高齢者7000名を調べて分かった「人生の意味」と「早死にリスク」の関わり
これは2019年に有名な医学雑誌「JAMA」に掲載された研究(#1)で、アメリカを舞台に、1931~1941年生まれの高齢男女6985名(51~61歳)を対象に行われたもの。
調査自体は1992年に開始して、その後2006年にインタビュー調査を行う流れでした。具体的には、その時の心理面、幸福度などを7段階評価で答えるもので、このスコアによって「生きる意味をどのくらい見出しているか?」を判断していったんですね。
で総死亡率を2006~2010年の間で算出して、「人生の意味」と「早死にリスク」がどう関係しているのか?を見ていきました。
するとこの結果、こんなことが分かったようです。
- 心理面、幸福度アンケートのスコアが最も低かった群は、最も高かった群より総死亡リスクが2.5倍近く高かった(HR=2.43; 95%CI=1.57~3.75)
- 調査開始から1年以内に亡くなった人を除いても、同じ傾向が見られた(HR=2.24; 95%CI=1.44~3.50)
- 中でも循環器系疾患に因る死亡リスクは2.6倍高かった(HR=2.66; 95%CI=1.62~4.38)
どうやら、生きる意味を持っていると早死にのリスクは相対的に低くなるみたい。数字もかなり大きく出ましたね。
しかもこうした結果は、年齢や性別、配偶者有無、人種、学歴、喫煙、アルコール、BMIなど基本的な別要素はしっかり考慮したものでした。
注意点・まとめ
ただ、この結果を受け止める前に気を付けたい点もいくつかあります。
- 今回の調査はアメリカだけを舞台にしている
- 人生の意味を問うアンケート調査は途中で1回挟んだだけ
- 食習慣など、幾つか大事な別要素が考慮されてない
この辺りは注意点かと。つまり「生きる意味があれば長生きできる!」みたいな解釈はまだできない、と。
また、今回の調査期間で亡くなった方では、より高齢の人、喫煙歴がある人、アルコールを飲まない人、運動不足な人、体の機能が不自由な人などが多い傾向が見られた様子。元々死亡リスクが高そうな状態の人ですね。
(*アルコール飲まないのに死亡リスク↑問題については「アブステイナーバイアス」をご覧ください)
ということでまとめますと、
- 生きる意味を持っている人はそうでない人より長生きできるという研究
- 生きる意味のスコアが最低層の人は最高層の人より2.5倍程早死にリスクが高かった
- ただ他の要素の影響や研究の質的な問題もあるので、あくまで数字は参考程度に留めておくとよさそう
こんな感じでしょうか。生きる意味があれば感覚的なストレスや不安なんかも薄れそうですし、こういった流れで早死にリスクに関わっている可能性は考えられますね。
赤羽(Akabane)
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#1 Aliya Alimujiang, MPH; Ashley Wiensch, MPH; Jonathan Boss, MS; et al. Association Between Life Purpose and Mortality Among US Adults Older Than 50 Years. JAMA Netw Open. 2019;2(5):e194270.