医学界の覇権雑誌『LANCET(ランセット)』が解き明かす「ここまでならOK!な飲酒量のボーダーライン」とは?

2019年7月24日考察編,

医学界の覇権雑誌『LANCET(ランセット)』が解き明かす「ここまでならOK!な飲酒量のボーダーライン」とは?

今回は「ここまでならOK!な飲酒量のボーダーライン」についてのお話です。
 
 
まず飲酒量に関する最近の大きな動向からチェックして、それから本題へ入りましょう。
 

早死にリスクが最も低くなる飲酒量はゼロ!という驚愕のメタ分析

お酒に関して言うと、この頃は衝撃的な研究が盛りだくさんでした。例えば2018年に医学雑誌の最高峰『LANCET(ランセット)』に掲載されたメタ分析(#1)。
 
 
この研究の結論をザックリ申し上げると、
 

  • 最も総死亡リスクが下がる飲酒量はゼロ!(厳密に言うと防ぎたい病気によって変わる)

 
という驚きの結果でした。これまでは「ある程度の飲酒は健康に良いよ!」と数多くの研究が主張していましたが、これはそうした過去研究にあった問題点をクリアしたうえでの結論。つまり研究の質で考えるとこちらのほうが信憑性が高いということですね。
 

医学雑誌「ランセット」に再臨!飲酒研究最大規模&最高品質のメタ分析

ではここから本題へ。ここまでを振り返ると「長生きするために最適な飲酒量はゼロに近づけることだ」という感じ。そして今回は、更に強固なエビデンスを追加することに。
 
 
参考文献は2018年に『LANCET(ランセット)』に掲載されたメタ分析(#2)で、これは今までの飲酒研究の中でもトップクラスの品質です。
 
 
研究では、19の先進国から大規模なデータセットを集計して、調査時に酒飲みだった599912名を平均7.5年間追跡しました。その際には研究間の差異、性別、年齢、糖尿病有無、喫煙歴などの別要素もしっかり調整済みです。
 
 
ではどんなところが強みなのか?と言うと、「調査時点で多かれ少なかれ酒飲みである人」を対象にしているという点です。前回のメタ分析でも紹介した通り、これまでの研究では「酒を飲まない群」に「昔飲んでたけど調査の時点ではもう飲んでない人」が混じる可能性が高かったんですね。(アブステイナーバイアス)
 
 
でその他の強みは、集めたデータの研究デザインが前向きコホート研究だという点。簡単に言うと、過去研究よりも質が良くて高い精度で飲酒量と疾患の相関を調べられるということです。
 
 
前置きが長くなりましたが、以上を踏まえて結果を見てみましょう。

 

  • 最も総死亡リスクが少なかったのはアルコール摂取量が週に12.5ユニット(100g)以下だった時!

 

ということで、お酒はちょっとなら大丈夫!みたい。更にもう少し詳しく見ていくと、

 

  • 脳卒中リスク…100g増える毎に14%アップ
  • 冠状動脈疾患リスク(心筋梗塞は除く)…100g増える毎に6%アップ
  • 心不全リスク…100g増える毎に9%アップ
  • 高血圧疾患による致死リスク…100g増える毎に24%アップ
  • 大動脈瘤による致死リスク…100g増える毎に15%アップ

 

こんな風に飲酒量がボーダーラインから増えていくと、循環器系の疾患リスクが高まることが分かりました。他にも膨大なデータからこんな内容も算出してくれています。

 

40歳の時点での週当たり飲酒量と寿命
  • アルコール摂取100~200g..100g≧と比較して6ヵ月寿命が縮まった
  • アルコール摂取200~350g..100g≧と比較して1~2年寿命が縮まった
  • アルコール摂取350g≦..100g≧と比較して4~5年寿命が縮まった
米国、英国の飲酒上限と寿命
  • イギリスでの上限である112gを閾値にしたとき、超えてる人と以下の人だと、40歳の時に1.6年寿命が縮まった
  • アメリカでの上限である196g を閾値にしたとき、超えてる人と以下の人だと、40歳の時に2.7年寿命が縮まった
 

結論「ここまでなら健康的にOK!な飲酒量ボーダーライン」は週当たり100gだったんですね。これは毎日飲むとすると、一日当たりアルコール14.3gとなります。ちなみにアルコール週100gというのは、サントリーHP(#2)の内容を拝借すると、

 

  • ビール5缶分相当(500mlロング缶、5%)
  • 缶チューハイ5缶相当(350ml、7%)
  • ワインボトル1.3本相当、ワイングラスなら10杯相当(ボトル..750ml、グラス..100ml)
  • 日本酒5合相当(180ml)

 

こんな感じの目安になります。つまり単純計算で缶ビール350mlなら毎日一缶まではOKラインですね。一方で日本酒なんかの度数が高いお酒は毎日1合飲んでいたらアウト。この辺りはアルコール摂取量を計算する癖をつけておくとよろしいかと思います。
 

注意点・まとめ

ということで以上をまとめると、

 

ポイント
  • ここまでならOK!な飲酒量ボーダーラインは週当たり100gまで
  • ビールのロング缶(500ml)なら一日1缶はOKライン
  • 前回と今回のメタ分析の結果をまとめると「飲酒量はゼロに越したことはない」というのが現状の答え
 

こんな感じになりましょうか。ただ今回の研究は「がん」は対象に含まれないので、あくまで早死にリスクや循環器疾患リスクを考慮する場合の想定です。

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赤羽(Akabane)

早死にや循環器疾患のリスクヘッジとしては、毎日ビール一缶分(350ml)くらいまでなら飲んでも大丈夫みたいですね。お酒も人付き合いのためにたまに飲むくらいならいいんではないでしょうか。忘年会シーズンのご参考までに。

飲酒量は少ないに越したことはないエビデンス

参考文献&引用

#1 GBD 2016 Alcohol Collaborators. Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990–2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016. VOLUME 392, ISSUE 10152, P1015-1035, SEPTEMBER 22, 2018.

#2 Angela M Wood, Stephen Kaptoge, Adam S Butterworth,et al. Risk thresholds for alcohol consumption: combined analysis of individual-participant data for 599912 current drinkers in 83 prospective studies. LANCET,Vol 391 April 14, 2018.

#2 SUNTORY(サントリー)HP 「適量ってどのくらい?」2018年12月31日アクセス。
https://www.suntory.co.jp/arp/proper_quantitiy/