【激痛】重金属「カドミウム」で尿路結石のリスクが高まる?

重金属 カドミウム 尿路結石

赤羽(Akabane)

今回は「カドミウムの健康被害」についてのお話です。

カドミウムは尿路結石のリスクを高める?!

ではまずカドミウムって何?という部分から軽くおさらいします。

カドミウムは、鉱物中や土壌中などに天然に存在する重金属で、鉛・銅・亜鉛などの金属とともに存在することから、日本においては1千年以上前から鉱山開発などにより、地中から掘り出されてきました。(#1)

重金属と聞くと何やら怖いですが、実際は自然界にもありふれた物質です。身近では、たばこの煙やお米、野菜等食品、排気ガスなんかにも含まれます。

でこのカドミウムの何が恐いかというと、体内に蓄積して神経毒として体にダメージを与えます。この結果、発達障害を引き起こす可能性があったり、あらゆるがんのリスクを高めるかもしれないとの説が濃厚です。

カドミウムに晒され続けると尿路結石が出来る?

ではここからが本題です。カドミウムには発達障害やがんなど色々な健康被害が想定されるんですが、実は尿路結石を引き起こすという主張があって、今回はこの点を確認していきます。

そこで参考になるのが2018年に広州中医薬大学附属中医薬学校が発表したメタ分析(#2)。

これは1993~2016年の間に発表された6件の観察研究から88045名を対象に、カドミウムに晒される量と尿路結石のリスクの関係を調べたもの。

まず、具体的にカドミウム露出は次の2タイプに分けて調べたみたいです。

  • 職業柄のカドミウム露出(4件)…工事現場など重金属の排出が多い場所で働いている人などの尿中のカドミウム値を測定
  • 食事のカドミウム露出(2件)…カドミウムを多く含む食品の摂取をアンケート調査

そして結果に影響を与えないために、年齢や人種、BMI、性別、喫煙歴といった要素をしっかり調整しました。

するとこの結果は、

結果
  • 全体でカドミウム露出量が最も多い群vs.少ない群では尿路結石発症リスクが32%高まった

どうやらカドミウムに多く晒されていた人ほど尿路結石リスクが高かったみたい。

更に詳しく見てみると、

  • 職業柄のカドミウム露出が高い場合のほうが、食事からのカドミウム摂取が多いよりも尿路結石リスクが高かった(職業柄:56%アップ、食事:13%アップ*有意差なし)

こんなことも分かりました。職業柄、尿中カドミウム値が高い人ほど、尿路結石リスクがより高まって、逆に食事によるカドミウム摂取が多い場合では特にリスク変動が見られなかった、と。職業柄やむを得ない方にとってはつらい結果であります。

カドミウムが尿路結石を作るメカニズムは?

ちなみにこうしたメカニズムとしては、カドミウムによる骨やカルシウムへの異常が原因だと考えられます。

一説には、食事からのカドミウム摂取が増えると、骨の再吸収が起こって、結果的に尿中のカルシウム排泄量が増えるかも(#3)といった主張もあったり。

注意点・まとめ

ただし今回の研究には注意点も幾つかあって、

注意
  • スウェーデンの研究が半分を占める
  • 質が低い研究で結果が大げさに出ている

この辺りも押さえておくとよろしいかと思います。要は調査が行われた地域に偏りがある+日本は含まれていないし、おまけに今回出た発症リスクは実際もう少し小さいかも、ということです。

赤羽(Akabane)

今回の結果をまとめると、カドミウムが尿路結石のリスクを上げる可能性はありそうです。ただどのくらいの量でどのくらいリスクが上がるか?といった細かい部分はまだよくわからない様子。トータルの健康で考えると、まずできるのは、たばこを完全に断つことでしょうか。

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参考文献&引用

#1 厚生労働省『「食品に含まれるカドミウム」に関するQ&A』2019年6月14日アクセス。
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/12/h1209-1c.html

#2 Guo ZL, Wang JY, Gong LL, Gan S, Gu CM, Wang SS. Association between cadmium exposure and urolithiasis risk: A systematic review and meta-analysis. Medicine (Baltimore). 2018 Jan;97(1):e9460.

#3 Navas-Acien A, Tellez-Plaza M, Guallar E, et al. Blood cadmium and lead and chronic kidney disease in US adults: a joint analysis. Am J Epidemiol 2009;170:1156–64.