赤羽(Akabane)
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禁煙の救世主「ニコチン代替療法」
たばこは体に悪い!に反対するお医者さんは最早いないかと思います。実際に喫煙の健康被害はすさまじくて、
- 10種類以上のがんのリスクを高めることがほぼ確実
- 心疾患のリスクを高める
- 二型糖尿病リスクも高める
ザっと挙げてもこんなラインアップ。普段紹介したりする健康に悪い成分!とかが霞んでしまうレベルですね。
とはいえたばこは依存性が高くてなかなか止められないのも有名な話でして、現時点で一番メジャーな禁煙法にはニコチン代替療法というものがあります。一般によく知られているのはパッチやガムなどでしょうか。ざっと仕組みを説明しますと、
- たばこ(ニコチン)が欲しくなる
- 代わりにニコチンパッチを使うorガムを噛む
- 欲求が満たされる
こんな流れですね。これを繰り返すことで、「別にたばこじゃなくてもいいんじゃないか?」と思えるようになって、自然とたばこから離れられる、と。
ということで今回は王道のニコチン代替療法の効き目を最大限引き出すポイントについて、参考になるデータを見ていきます。
ニコチンパッチやガム、錠剤の効果を最大限引き出して確実に禁煙するための3つのポイント
2019年にコクラン共同計画が発表したメタ分析(#1)では、63件のRCTを集めて、ニコチン代替療法の効果をまとめてくれていました。
そしてこの分析の結論から言ってしまうと、ザっとこんな感じです。
- ニコチン代替療法は単体ではなく色々な種類を組み合わせること
- ガムやパッチの量は少なめより多めに
- ニコチン代替療法を始める前に禁煙日を自分で決めてやってみる
重要なポイントはこの3つでした。では改めて詳しい研究内容を見ていくと、
- 63件のRCTからヘビースモーカー41509名を対象に、
- 効果があるニコチン代替療法の種類、量について調べた
- 参加者らはヘルスケアクリニックなどに通っており禁煙の意思がある
こんな感じ。参加者らは大体一日あたり15本以上は吸っていたようで、かなりヘビーであります。そして彼らヘビースモーカーにニコチン代替療法を最低6ヵ月以上試してもらった結果は、
- ニコチンパッチと他のガムや錠剤を組み合わせると、単体よりも25%禁煙率が高かった
- ガムやパッチの量は多い方が禁煙率が高かった
- ニコチン代替療法を始める前に禁煙日を作って止めようとしたほうが、後の禁煙率が高かった
このように、ニコチン代替療法は色々なタイプのコンビネーションで量は多い方が効くみたい。また治療を本格的に始める前に、あらかじめ禁煙日を作って実行してみるのも重要なポイント。ニコチンの量についてもっと詳しく見ていくと、
- 24時間の使用で、ニコチン含有量21mgのパッチのほうが14mgのパッチより禁煙率が48%アップ!(研究数1件)
- 16時間の使用で、ニコチン含有量25mgのパッチのほうが15mgのパッチより禁煙率が19%アップ!(研究数3件)
- ニコチン含有量4mgのガムのほうが2mgのガムより禁煙率が43%アップ!(研究数5件)
こんな感じ。ただしガムの効果で言うとニコチン依存レベルが高い喫煙者のみ効果アリ判定だったり、そもそも参考にしている研究数が1件のみの結果もあったり、具体的に「この量だけ摂ってればOK!」みたいな数字を出すのは難しそう。
ちなみにニコチン代替療法の副作用も気になるところですが、こちらは比較的安全でした。稀な例で挙げても、
- ニコチン錠剤の服用で口内炎
- パッチの使用で肌がヒリヒリした
この程度。ただ色々な種類のニコチン代替療法を同時に使う副作用についてはまだハッキリしたことは言えなそうなので、この辺りは専門医をあたった方がよろしいかと思います。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Lindson N, Chepkin SC, Ye W, Fanshawe TR, Bullen C, Hartmann-Boyce J,”Different doses, durations and modes of delivery of nicotine replacement therapy for smoking cessation.“,Cochrane Database Syst Rev. 2019 Apr 18;4:CD013308.