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【心理学】罪の意識を水で洗い流す「マクベス効果」は本当に存在するのか?

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赤羽(Akabane)

今回はマクベス効果って本当に一般化できるの?問題についてのお話です。

罪の意識を水とともに洗い流す「マクベス効果」

マクベス効果

マクベス効果といえば、道徳的に善くない行いをしてしまった時に、その罪を物理的に洗い流そうとする心理現象ですね。これは心理学界では有名な話で、以下のような実験結果が根拠になっております。

  • 60名を対象に、半分ずつ過去の道徳的な行いか非道徳的な行いを告白してもらった後、W〇〇H、SH〇〇ER、S〇〇Pのような穴埋めを行ったところ、後者でWASH(洗う)やSHOWER(シャワー)、SOAP(石鹸)といった「洗浄」を暗示する単語が選ばれる確率が高まった!(#1)

ちなみに名前の由来はシェイクスピアの「マクベス」からきていて、ご存知の通りこんな一節があるわけです。

マクベス夫人は夜中に起き出して、手を洗う仕草を繰り返す。「血が落ちない」とつぶやき、ダンカン王殺害時の言葉を喋り、バンクォーやマクダフ夫人殺害を悔い、嘆き続ける。侍医は治療の手立てはないと判断する。(#2)

そしてこのマクベス夫人の描写が実験で確認されたぞ!ということで瞬く間にマクベス効果は広まりました。では以上を踏まえて本題に入りましょう。

過去の研究を総まとめ:マクベス効果は本当に存在するのか?

2018年にスワースモアー・カレッジが発表したメタ分析(#3)では、15件の実験から1746名を対象に改めて「マクベス効果は再現できるか?」を総まとめしてくれています。

早速結論から言ってしまうと、こんなことが分かりました。

結果
  • 全体でみるとマクベス効果の効果量はかなり小さい(g= 0.17, 95% CI [0.04, 0.31])

どうやら、マクベス効果はそれ程広く再現できる現象ではありませんでした!マクベス…お前もか…

ちなみに効果量というのはそのまま効果の大きさと捉えて問題ありません。一般的にはこれが0.7とかを超えたあたりで効果大!と言われていて、今回の結果はかなり控えめですね。

そして更に詳しく見てみると、

  • 全体の効果量を底上げしているのは冒頭で紹介した元ネタの実験だった

こんなことも分かりました。これはつまり、マクベス効果が広まるきっかけになった最初の実験が主に高い効果を報告していて、その後の追試ではほとんど効果が確認できてないということ。

ただしこれは「マクベス効果終了!」という意味ではなくて、研究チームも限定された条件下であれば再現できるかもしれないと仰っています。例えば「洗う」という表現一つとっても、床を綺麗にするよりは手を洗うほうが再現率が高かった、みたいな感じですね。また宗教的・文化的な背景も少なからず影響するでしょうし。

赤羽(Akabane)

まとめると、マクベス効果は一般化するには再現率が低め。残念ながら、心理学のテキストに載せていいレベルには達していないかと思います。近年ではこうした心理学用語の「再現性の危機」がバンバン報告されているので、今後また取り上げたいと思います。
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参考文献&引用

#1 Zhong CB, Liljenquist K,“Washing away your sins: threatened morality and physical cleansing.”, Science. 2006 Sep 8;313(5792):1451-2.

#2 Wikipedia(ウィキペディア)「マクベス(シェイクスピア)」2019年5月16日アクセス。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/マクベス_(シェイクスピア)

#3 Jedidiah Siev, Swarthmore, Shelby E. Zuckerman, Joseph J. Siev,”The Relationship Between Immorality and Cleansing A Meta-Analysis of the Macbeth Effect”,Social Psychology (2018), 49, pp. 303-309.