コーヒーやポテチの発がん性物質「アクリルアミド」の危険性はどこまで気にするべき?

2019年4月7日栄養成分、物質

南カリフォルニアでコーヒー販売社に「発がん性成分」表示の勧告が!

コーヒーといえば、ひと昔前には「体に悪そう」というイメージもあって健康目的で飲む人は殆んどいませんでした。がしかし近年ではその健康飲料っぷりで目覚ましい名誉挽回をしていますね。

ようやくその健康効果が世間に認められ、波に乗ってきたか!と思いきや、つい最近アメリカの南カリフォルニアではコーヒーを巡って裁判沙汰になった(#3)のだそう。争点はずばり発がん性物質である「アクリルアミド」です。コーヒーを焙煎する段階で「メイラード反応」が起きて、その結果としてアクリルアミドが発生してしまう、と。

以上を踏まえて、原告側の主張とスタバ等のコーヒーショップの間でこんな対立が勃発したのだとか。

▼原告側の主張
「発がん性物質の表示をするべきだろ!」
▼コーヒー販売側主張
「いやいや、コーヒーの多大な健康効果は科学的に証明されてるでしょう」
▼現状
裁判所はコーヒー販売側に発がん性物質の表記を命ずるという結果になっている模様。

こんな感じで、大きな議論を呼んでいるアクリルアミドですが、その健康被害はいかほどなものなのか…
 



エレガントライフコーヒー


 

発がん性物質「アクリルアミド」の実際の発がんリスクはいか程?

アクリルアミド 摂取 発がんリスク 

そんな中、2015年にアクリルアミドの摂取量と発がんリスクの関係を調べた疫学研究のメタ分析(#1)が出ています。中身をザっと覗いてみますと、
 

  • 32の疫学、コホート研究を選出
  • アクリルアミド摂取量が多い VS 少ないでリスクを比較
  • アクリルアミド摂取量が1日当り10µg(マイクログラム)ずつ増えた場合のリスクも測定
  • 色んなタイプの発がんリスクを調査

 
こんな感じでして、要はアクリルアミドの摂取量を食事内容から見積もって、それが発がんリスクと関係があるのか?を見たんですね。すると結果は次のようになりました。

 

  • 殆んどの発がんリスクに優位な影響なし(0.87~1.03)
  • 1日当たり10µg増えても発がんリスクに影響なし(0.95~1.03)
  • 腎臓がん発症リスクは多量摂取で20%高まった(1.20)
胃がん、食道がん、大腸がん、すい臓がん、咽頭がん、肺がん、乳がん、膀胱がん

 

結果、ほとんどの発がんのリスクに影響はなさそう。ただ、腎臓がんや非喫煙の女性の卵巣がんと子宮内膜がんのリスクが微妙に上昇していたようです。その差はそれ程大きくないですが..

ちなみに2008年にハーバードメディカルスクールから出ている研究(#2)では、腎臓がんも含め色んな種類の発がんリスクはアクリルアミドの影響を受けなかったと報告されています。このような研究間での微妙な差も考慮すると、食品に含まれるアクリルアミドは余程摂りすぎない限り発がんリスクは少ないのではないでしょうか。

また、日本の基準とは話が別ですが、成人の一日当たりのアクリルアミド平均摂取量はおよそ0.5µg/kgだったそうです。つまり体重が60kgの人だと大体一日に30µgのアクリルアミドを摂っている計算になります。これを踏まえて次に移りましょう。
 

 

実際の食品で例えると…

ポテチ ポテトチップス アクリルアミド 危険性

冒頭ではコーヒーの話をしましたが、実際にはどんな食品に「アクリルアミド」が含まれるのか。日本の農林水産省のデータ(#4)を参照すると、コーヒーだけでなくポテトチップスやフライドポテトなどポテト系を筆頭に加工食品がずらりと並んでいます。これを基に計算すると、こんな様子になりました。

 

  • ポテチ(カルビーのポテトチップス)ラージパックで一袋およそ154µgのアクリルアミド
  • 焙煎コーヒー豆を一杯10g使うとして、コーヒー1杯およそ1.6µgのアクリルアミド

 

あくまで単純計算ですが、これを踏まえると冒頭で触れたほどコーヒーを恐れる必要はないのでは?と思います。むしろポテチやフライドポテトなんかの加工食品群を控えめにしたほうが得策ではないでしょうか。

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赤羽(Akabane)

アクリルアミドを徹底的に排除する、よりはバランスの良い食事を心がけることのほうがより健康的だと思いますね。

 

参考文献&引用

#1 Pelucchi C, Bosetti C, Galeone C, La Vecchia C.,”Dietary acrylamide and cancer risk: an updated meta-analysis.“,International Journal of Cancer,Vol.136,No.12,pp2912-2922,2015.

#2 Mucci LA, Wilson KM,”Acrylamide Intake through Diet and Human Cancer Risk.“,Vol.56,No.15,pp6013-6019,2008.

#3 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28857910R00C18A4000000/「2018年5月13日アクセス」

#4 農林水産省「食品中のアクリルアミドの含有実態調査」
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/nousui/ganyu.html「2018年5月13日アクセス」