赤羽(Akabane)
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トレーニング後の休憩で飲むプロテインの量問題: 十分な筋たんぱく合成を起こすには何グラム摂ればいいのか?
トレーニング後に筋肉の発達を見込むなら30gのたんぱく質が十分量!という比較実験
2020年にマーストリヒト大学病院が発表したRCT(#1)によると、トレーニング後には30gのタンパク質を摂ることで十分な筋タンパク合成が見込め、〜45gまでは量が増えるほど効果的であることが分かりました。
この研究では、持久力トレーニングに慣れ親しんでいる48名の若い男性(平均27歳)を対象に、トレーニング後に飲むプロテインの量によって体内のたんぱく質代謝はどうなるのか?を調べています。実験のザックリとして内容は以下の通りです。
- 参加者は90分間のサイクリングトレーニング前に590mlの飲料(炭水化物45g)を飲む実験をこなす
- この時、飲料に含まれるたんぱく質量で参加者をランダムに4グループに分けられ、0、15、30、45gという風に分類された
- 食後20~360分で10回血液サンプルを採取し、2回筋肉細胞の検査を行った
この実験では、トレーニング後のたんぱく質の摂取量によってその後の体内の代謝や筋たんぱく合成などにどんな差が見られるのか?をチェックしています。
そして実験の結果、以下のようなことがわかりました。
- 食後の血中アミノ酸濃度(ロイシン、フェニルアラニン、チロシンなど)はたんぱく質の摂取量に応じて急速に上昇しており、240〜360分後には落ち着いていた
- たんぱく質30gを摂取したグループは、0gのグループよりも46%ほど筋たんぱく合成率が高まっていた
- 筋たんぱく合成率は、30g以上摂取していた場合に0gのグループよりも有意にアップしており、15~45gの間で摂取量に応じて増加していた
まとめると、食後の筋たんぱく合成は30g以上で有意な増加が見られまして、実験では45gまでは量が増えるほど筋たんぱく合成率もアップするようです。全身のたんぱく質合成総量から分解総量を差し引いたネットバランスも、同様にたんぱく質摂取が多いほどプラスに傾いていたみたい。
また他の結果として、ミトコンドリアでのたんぱく合成率もチェックしていましたが、こちらはどのグループでも目立った増加は見られませんでした。今回行われたサイクリングのような持久力トレーニングでは、ミトコンドリアの発達も効能として挙げられますので、たんぱく質を摂るとこちらの方面はどうなるのかな?ということでしたが、結果は微妙な感じに。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザッと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- サンプルサイズが小さい: 参加者数が少ない分、統計的なパワーが弱い
- 長期的な結果ではない: 一度きりの実験である分、データの量にも乏しいうえ、長期的な効果までは分からない
- 実際の筋肉への効能は分からない: あくまで摂取直後の代謝反応を見ているだけなので、今回の結果がどこまで筋肉の発達に寄与してくれるのかはわからない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 持久力トレーニング後には30gのタンパク質を摂ることで十分な筋タンパク合成が見込めるようだ
- こうした効果は摂取量に応じて高まり、実験内では15~45gの間でたんぱく質の量を増やすごとに筋たんぱく合成率が高まっていた
- ただしミトコンドリアでのたんぱく合成率はたんぱく質を摂ろうが摂らまいが増加しておらず、グループ間でも大した差は見られなかった
赤羽(Akabane)
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#1 Tyler A Churchward-Venne, Philippe J M Pinckaers, Joey S J Smeets, Milan W Betz, Joan M Senden, Joy P B Goessens, Annemie P Gijsen, Ian Rollo, Lex B Verdijk, Luc J C van Loon, Dose-response effects of dietary protein on muscle protein synthesis during recovery from endurance exercise in young men: a double-blind randomized trial, The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 112, Issue 2, August 2020, Pages 303–317, https://doi.org/10.1093/ajcn/nqaa073