赤羽(Akabane)
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マインドフルネス瞑想で視覚的な短期記憶が強化できる?
マインドフルネス瞑想の効果は、ここ十数年で多岐にわたって検証が繰り返されています。そうです、かなりホットです。
というわけで、この記事でも超短期的なマインドフルネス瞑想の効果について、ワクワクするデータを見ていきます。
単発のマインドフルネス瞑想でも短期記憶が強化できるかも?な比較実験
2020年にリンカーン大学が発表したRCT(#1)によると、単発のマインドフルネス瞑想でも脳の短期記憶を強化できるかも!ということが分かりました。
この研究では、90名の学生(18〜25歳)を対象に、まず彼らを以下のグループに分けていきました。
- マインドフルネス瞑想(30名): マインドフルネス瞑想の呼吸やボディスキャンに関するオーディオを8分間聴きながら実践する
- 比較グループ① (30名): 関係のないオーディオブックを聴く
- 比較グループ② (30名): 好きに時間を潰す(大半はスマホをいじっていた様子)
実験前後では、「MAAS」や「FFMQ」といった定番のマインドフルネス診断ツールや、短期記憶の機能をチェックする認知テストを実施したようです。
*認知テスト…顔の画像がPC上に表示されて、次の顔が表示されるごとに前とは違う新しい顔をどんどん選んでいく内容
すると実験の結果、こんなことが分かりました。
まとめると、たった8分のマインドフルネス瞑想トレーニングでも、短期的に脳の短期記憶を強化することが出来るかも?という感じです。
一応、考えられるメカニズムとしては、事前のマインドフルネス瞑想によって、その後の認知テストで使う脳のリソースがしっかり確保できたのでは?という線が濃厚です。マインドフルネス瞑想には、不安や緊張といったネガティブな感情を避けるのではなく、しっかり向き合って懐柔するという特徴があるので、こうした要素が、テスト中の緊張などによって脳のリソースを奪われてしまうことを防いだのではないか?と。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ざっと以下の点は押さえておくとよろしいかと。
- サンプルサイズは小さい: 全体で100に満たず、統計的なパワーは弱くなる
- 参加者は皆大学生: 他の年齢層や別の人種、文化圏で同様の結果が得られるか?は分からない
また、今回のマインドフルネス瞑想はオーディオによる指導を受けながらのものだったので、実際にリトリートなどで直接教えられた際はどうなのか?といったところも気になりますね。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- たった8分のマインドフルネス瞑想でも短期記憶を一時的に強化できるかもしれない
- 今回の実験によると、マインドフルネス瞑想のガイダンスを8分間聴いて実践したグループで、その後の視覚的な短期記憶テストのスコアが高かった
- 参加者らの元々のマインドフルネス度などのばらつきを考慮しても、上記の効果は一貫して見られた
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Youngs, M. A., Lee, S. E., Mireku, M. O., Sharma, D., & Kramer, R. S. S. (2020). Mindfulness Meditation Improves Visual Short-Term Memory. Psychological Reports. https://doi.org/10.1177/0033294120926670