赤羽(Akabane)
目次
保守派とリベラル派はどちらの方が幸せなのか?
本題の前に、保守派とリベラル派の定義だけハッキリさせておきます。
・リベラル派…「equality」平等性。人は皆平等だから、皆が同じ機会から均等にメリットを得られなければならない!
保守派の方がリベラル派より日頃の幸福度が高いかもしれない!という調査結果
2020年にカタール大学の研究者らが発表した研究(#1)によると、保守派寄りの方がリベラル派よりも幸福度が高いことがわかったようです。
この研究では、アメリカを舞台に418名(平均34歳)を対象にしたオンライン調査を行なっていまして、幾つかのアンケートに答えてもらっていました。概要は以下の通りです。
- 保守派かリベラル派か?などの政治思想について
- 性別や年齢などの基本情報、主観的な幸福度、最近掲げている目標やその進捗、その為の行動やアクティビティ中のフロー体験について
- 自分に起こったネガティブな体験に対して、どのくらいクヨクヨ考えてしまうか?について
そしてこれらの調査結果を分析すると、以下のようなことが分かったようです。
- 保守派傾向にある人は主観的な幸福度が高かった
- こうした相関には、保守派ほど目標に向かって努力できている感覚が強いことや、その過程でフロー状態に入り込み易かったことが関係していた
- 失業などで自身の立場が脅かされるような状況に立たされた場合で、保守派の人ほど自己コントロールを効かせることができていた
まとめると、保守派の人の方が思考が柔軟で困難やストレスにも臨機応変に対応できる分、日々の暮らしに幸福を感じやすいのではないか?と。
ただし、3つ目の結果については注釈がつきまして、シンプルに保守派傾向と自己コントロール力だけで見た場合は、両者の間に何ら相関は見られなかった模様。しかし、環境的なストレスに晒された状況下での幸福度はピカイチだった、と。この辺の結果は過去の研究とも食い違っているみたいなので、今は参考程度に留めておくのがよろしいかと。
注意点・まとめ
注意点としては、ざっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 調査はアメリカでのみ行われた: 国や文化圏で政治思想も異なると想定されるので、どこまで一般化できる内容かわからない
- 因果関係を特定する研究結果ではない: RCTなどの実験デザインではなく、あくまで調査結果を後から見て関連性を分析しているだけ。他の要素がより大きな影響を与えている可能性は高い。
- 過去の研究には食い違いが結構ある: 「国レベルで比べるとリベラル派の方が幸福度が高い!」とする報告がある一方、「個人レベルなら保守派!」という報告もあって、一貫した結果にはなっていない印象
やはり冷静に考えても、保守orリベラルの二択だけで個々人の幸福度がスパッと分かれるとは考えにくいかと…。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 保守派寄りの方がリベラル派よりも幸福度が高いことがわかった
- 今回の調査では、保守派傾向と主観的な幸福度で有意な相関が見られた。こうした相関には、目標に向かって進んでいる感覚や、その過程でフロー状態に入る感覚が強いことが関係している可能性がある
- ただし、過去の同テーマの研究では結構食い違いが見られるので、保守かリベラル派か?だけで今回の話に結論を出すのは早いと思われる
赤羽(Akabane)
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#1 Briki, W., Dagot, L. Conservatives Are Happier than Liberals: the Mediating Role of Perceived Goal Progress and Flow Experience — a Pilot Study. Curr Psychol (2020).