【肥満のパラドックス】お腹周りのぜい肉がコレだけ増えると、コレくらい心疾患リスクが上がる!

2019年8月29日体の仕組み, 考察編

お腹周りのぜい肉がコレだけ増えると、コレくらい心疾患リスクが上がる!

ウエスト 肥満 心疾患 リスク BMI

「肥満のパラドックス」という言葉があるわけです。これは、ちょっと太ってた方がむしろ病気にかかるリスクが低い!という意味で、

 

  • BMI25~30kg/㎡の太り気味だと総死亡リスクはむしろちょっと下がるよ!(#1)

 

実際にこんな報告が結構上がってるんですね。ここから、ちょっと太ってるくらいがちょうどいいのよ!という主張が湧き上がった、と。太っちょの方は歓喜でしょうね(笑)
 

ちょいぽちゃが最も健康的!は本当?という疑問を「ウエスト周りのぜい肉単位」で調べた研究!

といったところで、今回は「肥満のパラドックスって本当なの?」という疑問に珍しいアプローチをした研究を共有。
 
 
これは2018年にグラスゴー大学が発表した研究(#2)で、ヨーロッパの白人296535名分の体型データを集めて、彼らのBMIやウェスト周りの脂肪が心臓や血管の疾患とどう関係しているか?を調べたもの。
 
 
ちなみに珍しいアプローチとは、ウエスト周りの脂肪を長期的な疾患リスクと並べて調査しているところで、この手の研究はBMIしか調べていないケースが多めなんですね。
 
 
なおデータの追跡は、2006~2010のうちに開始して、最長で2015年までの10年間(平均5年)行われた模様。
 
 
すると追跡中に5667件の心疾患発症が起こりました。この結果からまずBMIについてわかったことを見ていくと、

 

  • BMIが22~23kg/㎡の人が最も心疾患リスクが低かった
  • このラインを超えると、男女でBMIがそれぞれ5.2 kg/㎡、4.3kg/㎡増えると心疾患リスクは13%増加した
  • 逆にBMIが18.5kg/㎡を下回っても心疾患リスクは高まった

 

こんな様子。つまり「標準体型」の最大値くらいを超えた辺りから、心疾患リスクがどんどん高くなる、と。
 
 
ただ、こうしたJカーブ型(両極端が最も危ないぞ!を示すグラフ)の傾向は、喫煙歴やほかの病歴などを考慮したらかなり弱まった模様。つまり痩せ気味の心疾患リスクは既往歴やたばこが悪さをしている可能性が高いということですね。
 
 
では次にウエスト周りについて見てみると、

 

  • 男性でウエスト周り83cmと比べると、11.4cmのウエスト増加は心疾患リスクの10%増につながった
  • 女性でウエスト周り74cmと比べると、12.6cmのウエスト増加は心疾患リスクの16%増につながった

 

こちらも標準の最大値あたりと比べて、ウエスト周りにお肉がつくほど心疾患リスクが高まっておりました。しかもこうした傾向はウエスト/ヒップ比や体脂肪率でも同じように見られたとのこと。
 
 
そして今回の研究のまとめとして、「肥満のパラドックス」について研究チームは次のように仰っていました。
 

BMIと心疾患リスクの相関関係は、他の体型測定メジャーと比べると、過去の病歴などの別要素が大きく影響している。世間一般で言われる「太っているほうが心疾患リスクが下がる」という誤った認識は再調査が必要だ。[筆者訳]

 
要は、これまで確認された「肥満のパラドックス」はBMIと心疾患の関係を根拠にしてたけど、この関係には別の要素が考慮しきれてない!信憑性は薄い!と。
 
 
ただし今回の結果にも注意点がいくつかありまして、

 

  • 対象はあくまでヨーロッパの白人の人々
  • 使用したデータセットの回答率が低い

 

この辺りは押さえておいた方がよろしいかと。というのも、「人種」は体型を考えるときに大事で、ここの違いも結構結果に影響するから。
 
 
また今回使用したデータセット「UK Biobank」の回答率が低くて、健康で意識の高い人が多めに回答してるんじゃない?という可能性も無きにしもアラブ。

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赤羽(Akabane)

複雑になりましたが、今回わかったことをまとめると、

  • 心疾患予防の観点からは痩せているに越したことはなさそう
  • ウエスト周りの贅肉は少ない方がいい
  • BMI22~23kg/㎡がベスト!という点は断言できない
  • 肥満のパラドックスは信憑性が低いぞ

こんな感じになりそうです。結局太ってるより標準体型以下のほうが健康ですよ、と。ではどうやったら痩せられるか?以下をご参考までに。

セットポイント理論についてはこちらもどうぞ

参考文献&引用

#1 Flegal KM, Kit BK, Orpana H, Graubard BI. “Association of all-cause mortality with overweight and obesity using standard body mass index categories: a systematic review and meta-analysis.”, JAMA 2013;309:71.

#2 Stamatina Iliodromiti, Carlos A Celis-Morales, Donald M Lyall, Jana Anderson, Stuart R Gray, Daniel F Mackay, Scott M Nelson, Paul Welsh, Jill P Pell, Jason M R Gill, Naveed Sattar. “The impact of confounding on the associations of different adiposity measures with the incidence of cardiovascular disease: a cohort study of 296 535 adults of white European descent.” European Heart Journal, 2018;