飽和脂肪酸リッチな食品を口にすると集中力が落ちてしまうらしい

飽和脂肪酸リッチな食品を口にすると集中力が落ちてしまうらしい

赤羽(Akabane)

今回は「たった一度の飽和脂肪酸リッチな食事で集中力が落ちるかも…?」についてのお話です。

飽和脂肪酸リッチな食品を口にすると集中力が落ちてしまうらしい

食事によって脳に与える影響が変わるのは有名な話ですが、この記事では、飽和脂肪酸が豊富な食事で集中力が落ちるかもよ?というデータを見ていきます。

飽和脂肪 vs 不飽和脂肪!食後に集中力が落ちるのは…?

2020年にオハイオ州立大学医学部が発表したランダム化クロスオーバー試験(#1)によると、飽和脂肪酸が多い食事の後は、不飽和脂肪酸が多い食事よりも集中力が落ちることが分かりました。

この研究では、51名の女性(32名…乳がん生存者、19名…がん患者ではない)を対象に、彼女らにランダム順で以下の2つのグループで過ごしてもらう実験を行いました。

  • 飽和脂肪リッチ食…卵、ビスケット、ソーセージ、ソースという食事内容で、油は飽和脂肪酸であるパルミチン酸がベース。
  • 不飽和脂肪リッチ食…同じ食事内容だが、油が不飽和脂肪酸の豊富なひまわり油に置き換えられている。

*実験終了後1〜4週間経過したら、今度はもう一つのグループで再度実験する

そしてそれぞれの食事の前に、集中力を測るテストや血液サンプル採取を行って、食後5時間経過したら、再び集中力テストを行うという流れです。テストでは、注意力の持続時間や刺激への反応速度などを基準にして、参加者らの集中力を測っています。

すると実験の結果、こんなことがわかりました。

結果
  • 飽和脂肪リッチな食事の後は、不飽和脂肪リッチな食事よりも注意力が逸れやすく、集中力に欠けていた
  • 血中のリポ多糖結合タンパク質(LBP)が多かった人は、食事グループに関係なくテストの反応速度や正確性に欠ける結果だった

LBP…エンドトキシン(内毒素)に分類される物質

まとめると、飽和脂肪が多い食事の後で、全体的に集中力テストのパフォーマンスが落ちていました。

また血液サンプルを詳しく調べていくと、体内の毒素が腸壁から漏れている恐れがあると分かった人では、食事のグループに関係なくパフォーマンスが低かったことも判明。いわゆる、リーキーガット(腸のバリアが弱まって穴が広がる)というやつですね。

こうした付加情報も踏まえると、飽和脂肪酸過多な食事による、脳や体内の炎症がパフォーマンスを下げているのかな?という推測は出来ますが、ハッキリとしたことは分かっていません。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意
  • 参加者は中年の女性のみ: 男性や他の年齢層の人で同様の結果が得られるかは分からない
  • サンプルサイズは小さい: 実験の参加者が少ない分、統計的なパワーは弱くなる

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 飽和脂肪酸が豊富なファストフードのような食事は、食後に集中力低下を招くかもしれない
  • 今回の実験では、中年の女性を対象に、飽和脂肪酸リッチ vs. 不飽和脂肪酸リッチな食事でパフォーマンスを比較したところ、飽和脂肪酸リッチな食事をした後で、集中力の低下が見られた
  • 詳しい原因は分からないが、リーキーガットを引き起こしている人で集中力の低下が著しかったことなどを踏まえると、飽和脂肪酸リッチな食事による体内の炎症が関係していそうだ

赤羽(Akabane)

飽和脂肪酸については、あちこちで議論が絶えない印象ですね。前に以下のテーマも取り上げていますので、興味のある方は続きも是非。

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参考文献&引用

#1 Annelise A Madison, Martha A Belury, Rebecca Andridge, M Rosie Shrout, Megan E Renna, William B Malarkey, Michael T Bailey, Janice K Kiecolt-Glaser, Afternoon distraction: a high-saturated-fat meal and endotoxemia impact postmeal attention in a randomized crossover trial, The American Journal of Clinical Nutrition, , nqaa085, https://doi.org/10.1093/ajcn/nqaa085