赤羽(Akabane)
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メタ分析:心の知能指数「EQ」は学業成績アップにもかなり影響してくる!
EQは「Emotional Intelligence Quotient」の略で、IQが普通の知能指数を測るのに対して、EQは他人への共感力や自己コントロール能力を測るものさしです。
このEQに関しては、人生の成功にとってIQよりも大事な要素なんじゃないか?と言われていたり、近年でも何かと注目の話題ですね。
EQが高いと学業成績も優秀なのか?について過去データを総まとめしたメタ分析
そこで2019年にシドニー大学教授らが発表したメタ分析(#1)によると、どうやらEQは学業成績を上げるのにも大事だよ!ということみたいです。
この研究は1998~2019年までに発表された158件の研究から27か国の42,529名(中央値で19歳)を対象に、EQは学業成績にとって重要な要素なのか?をまとめてくれた分析になっています。ちなみにここでの「学業成績」の定義は、単純な成績(GPA)やテストの結果でした。
ではまず分析結果から見ていきましょう。
- EQが高い生徒は学業成績も高い!という相関が小~中程度見られた
- テストの結果よりも学業成績(GPA)でEQとの高い相関が見られた
ここから言えるのは、EQが高い生徒は特に学業成績(GPA)が優秀な傾向が見られた!ということ。しかもこの結果は年齢や性別、人種、性格特性といった他の要素とは関係なく確認されました。
ではどうしてこんなにもEQは学業成績に影響するんでしょうか?考えられる仕組みとしてはザっと以下の3つが挙げられます。
- EQが高い生徒はネガティブ感情の扱いが上手い:例えばテストで思っていたより低い点数を取ってしまった時にも、気持ちを切り替えて次のテストに集中することができる
- EQが高い生徒はクラス内での周りとの関係構築が上手い:学校で勉学に集中するにはまずクラスを自分にとってそういう場にすることが大切になるので、周りとうまくやっていけるスキルは学習に適した環境づくりに欠かせない
- EQが高い生徒は単純に知識量も豊富:EQを高めるにはその時々の感情に適した名前を知っていたりする必要があるので、自然とボキャブラリーも豊富だったりする
どれも「うんうん..」と納得させられる内容ですね。学業成績には頭の良さだけが反映されるわけじゃないので、その分EQがかなり大事になってくるぞ!と。
学業成績においてEQはIQや勤勉性(誠実性)より大事なの?
とはいえ、過去の膨大な研究を見てみると「IQ」やビッグ5でいう「勤勉性」といった性格特性が学業成績にとって大事!というのは明らかです。
今回のメタ分析では学業成績に対する各要素の比重まで調べてくれていて、ザっと以下のようになったみたいです。
- IQ…58~69%
- 勤勉性…20~21%
- EQ…4~15%(タイプによって変わる)
ここから言えるのは、学業成績を上げるには単純な頭の良さだけでは足りない!ということ。学業に熱心に取り組む「勤勉性」にあわせて心の知能である「EQ」も欠かせないようです。
注意点・まとめ
ただし注意点としては、上記で挙げたメカニズムはハッキリと実証されたわけではありません。論文内でも「今後はこの辺りの検証もできたらいいな。」という感じで締めくくられていました。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 他人への共感力や自分の感情コントロールを測る心の知能指数「EQ」
- 高い学業成績を修めるのにも欠かせない重要な要素だった
- EQは学習に適した環境づくりやモチベーションの維持というように、間接的に成績アップに働きかけるのかもしれない
こんな感じでしょうか。EQに関してはまだ意見が分かれますが、今回は肯定的な結果が出ましたね。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 MacCann C, et al. Emotional intelligence predicts academic performance: A meta-analysis. Psychol Bull. 2019 Dec 12.