赤羽(Akabane)
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心の知能指数「EQ 」はスポーツ・競技のパフォーマンス向上にも重要なカギ?!
EQは「Emotional Intelligence Quotient」の略で、IQが普通の知能指数を測るのに対して、EQは他人への共感力や自己コントロール能力を測るものさしです。
このEQに関しては、人生の成功にとってIQよりも大事な要素なんじゃないか?と言われていたり、優秀な学業成績を修めるのに重要だと報告されていたり、近年でも何かと注目の話題ですね。
そこで今回は、EQがスポーツ・競技のパフォーマンスにとってどれくらい大事なモノなのか?を見ていきましょう。
EQはスポーツ・競技のパフォーマンスにどのくらい影響するのか?
2019年にフンボルト大学ベルリンが発表したメタ分析(#1)では、2001〜2018年に出版された21件の研究から3,431名(16〜56歳)を対象に、EQはスポーツのパフォーマンスにも影響するのか?を調べていました。
含まれた研究は、チームスポーツが48%、個人競技が23.8%、残りは両方を対象にしたもの。参加者は半分近くがアスリート、残りもエリートクラスからアマチュアまで、運動経験が豊富な人たちでした。
そして分析の結果を見てみると、こんな感じになりました。
- EQの高さは競技スポーツのパフォーマンスの高さと小さい相関が見られた(r = 0.16 95%CI 0.11 ~0.22)
- この効果には少なからずバラつきが見られた
まとめると、EQの高さは僅かに競技スポーツのパフォーマンスに影響するかも!ということに。
ばらつきが出たのはある意味仕方がないことで、そもそも色々なスポーツ、競技人口を対象にした研究を総まとめしていれば、こうなるのが自然でしょう。
注意点・まとめ
とはいえ他にも注意点はあって、以下は押さえておくとよろしいかと思います。
- 結果に影響する要素をいくつか調整していない:競技の種類や競技人口といった重要な要素によって結果がどう変わるか?は調べられていない
- 含まれた研究の質は低い:横断研究がほとんどで、因果関係も特定できない
では最後に今回のまとめです。
- EQの高さは競技スポーツでの高いパフォーマンスと僅かに相関関係がみられた
- チームか個人競技か?対象者はアスリートか?といった重要な要素によってどう結果が変わるか、はわかっていない
- 競技中の感情コントロールやチームワークを高めるのにEQは大事!という見方はある
こんな感じでしょうか。今あるエビデンスの総まとめ的な見解ではありますが、個人的にはまだデータが弱いかな…と思います。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Alexandra Kopp and Darko Jekauc. The Influence of Emotional Intelligence on Performance in Competitive Sports: A Meta-Analytical Investigation. Sports (Basel). 2018 Dec; 6(4): 175.