赤羽(Akabane)
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カフェインで寝不足な脳を呼び覚ます効果の限界は〇〇日目まで
カフェインの覚醒効果はすごいですが、体感的にも使いすぎると効き目が薄れていくような感じがしますよね。
この辺り、どのくらいまでだったら効き目があるの?というザックリとしたラインを見ていきましょう。
カフェインで寝不足な脳を覚醒させる効果は3日目までが限度らしい
2017年にウォルター・リード陸軍研究所が発表した研究(#1)によると、どうやらカフェインで寝不足な脳を呼び覚ます効果は4日目以降は薄れてしまう!とのことでした。
この研究では、睡眠に問題がない健康な48名を対象に、5日間にわたる10時間睡眠の期間と5日間にわたる5時間の期間、最後に3日間にわたる8時間睡眠の回復期間を続けて体験してもらう実験を行いました。
で睡眠を5時間に制限するフェーズでは、参加者をランダムに2つのグループに分けました。
- カフェイン(24名):200mgのカフェインをガムの形状で一日に2度摂取する(午前8時と正午12時)
- プラセボ(24名):カフェインのグループと形状が似ている偽のガムを同じ頻度、タイミングで摂取する
そして5時間睡眠のフェーズと8時間睡眠の回復フェーズで、参加者らは頭の覚醒レベルを測るために認知テストを4時間おきに行った様子。また毎晩の睡眠は全フェーズで「睡眠ポリグラフィ」を使って測定されていました。
するとこの実験の結果、次のようなことが分かったようです。
- カフェインによる覚醒効果は睡眠制限フェーズの3日目まで確認されたが、4日目以降は効き目が見られなかった
- カフェインのグループは回復のフェーズでパフォーマンスが元に戻るまでのスピードが遅くなった
ここから言えるのは、カフェインの覚醒効果で認知テストのパフォーマンスが上がったのは、5時間睡眠をはじめてから3日目までだった!ということ。それ以降はプラセボと変わらないくらいまでパフォーマンスが落ちていました。
ではどうしてこのような結果になったのでしょう?考えられる原因としては、単にカフェインを摂り続けたことで注意力や認知のリソースを大量に消費してしまって、これが睡眠負債を速いペースで溜めていってしまうことになった、という仕組みが挙げられます。
また他にも「アデノシン仮説」というメカニズムも考えられます。アデノシンは、アデノシン受容体とくっつくことで体が疲労感や眠気を感じるようになる物質ですが、カフェインはこれをブロックすることで覚醒効果を発揮しています。慢性的にコレを続けた結果、アデノシン/アデノシン受容体の比率が大きくなってしまって、睡眠負債からなかなか立ち直れなくなってしまったのではないか?と。
注意点・まとめ
ただし注意点として、この辺りは押さえておくとよろしいかと思います。
- 実験では毎日同じカフェイン量を与えている:リアルな世界では毎日決まった量を摂るという状況は少ないので、どこまで我々の生活に応用できるか?は分からない
- カフェインの量によって効果の持続時間は変わりそう:一日400mgでは3日目までが限度だったが、量を減らせば効果が長続きするという報告も上がっている
- 睡眠障害を持った人ではどうなるか分からない:今回は健康で睡眠に問題がない人しか含まれていない
では最後に今回のまとめです。
- カフェイン一日400mgだと寝不足な脳を覚醒させる効果は3日目までしか続かなかった
- また偽のガムを噛んだグループと比べると、カフェイン摂取でその後の睡眠負債からの回復が遅れていた
- 毎日大量のカフェインで脳を誤魔化していると睡眠負債がどんどん溜まっていくかも
こんな感じでしょうか。カフェインはパフォーマンスアップに優秀な物質ですが、頼りすぎると良くないかもよ!と。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Tracy Jill Doty, et al. Limited Efficacy of Caffeine and Recovery Costs During and Following 5 Days of Chronic Sleep Restriction. Sleep, Volume 40, Issue 12, December 2017, zsx171.