赤羽(Akabane)
目次
「頭がよくなる!」で有名なBDNFと脳とメンタルのつながり
ではまずBDNFについてですが、これは脳の神経系で多く見られる神経伝達物質でして、記憶や認知に関わる大事な物質のこと。
実際に、体内のBDNF濃度が高いと認知の衰えが少なくて長期記憶が保たれるとの報告(#1)もあったり、脳の機能を維持するのにとても大切な要素なんですね。
そしてBDNFは運動で増やせる!(#2)というのも有名な話です。で同時に運動がうつ病に非常に効果的!(#3)だということも分かっています。そしてここから、運動がうつに効くのはBDNFが増えるのが主要因なんじゃないか?と考えられていました。BDNFは感情のコントロールにも影響を与えていますし、この点では納得のいく話です。
・運動でBDNFが増える
・うつ病患者では体内のBDNFレベルが低い
→運動でうつ病が改善するのはBDNFのおかげなのでは?!
メタ分析:いや、BDNFのおかげではないかもよ!
ということで本題です。実際はどうなのよ?というところで参考になるのが、2018年に新潟医療福祉大学が発表したメタ分析(#4)で、5件の研究から199名を対象に、運動で大うつ病性障害の重篤な患者のBDNFは増えるのか?を調べてくれたもの。(※大うつ病性障害はうつ病と同義とされる。)
具体的には、対象を次の2グループに分けて実験前後のBDNFレベルを比較しました。
- 運動グループ..エアロバイクやトレッドミルなど有酸素運動をやる
- 比較グループ..リラクゼーションやストレッチ、普段の治療をこなす
そしてこれを、一回40~60分程度で週に2~3回続けたようです。
するとこの結果は、
- 運動をしたグループと比較グループではBDNF増加に差がほぼなかった
このようになりました。しかもこの結果は5つの研究間でバラつきがなかったみたいで、一貫性があるもの。
ただ過去の研究を見ていると、どうもBDNFについては様々な結果が報告されている様子。例を挙げてみても、
こんな風にです。要は対象者のメンタル状態によって結果が変わる、と。
こうした過去の報告もまとめると、うつ病患者では健康な人や統合失調症患者と比べて運動のBDNFアップ効果が低いことがわかります。つまり、うつ病に運動が効くのはBDNFじゃなくて他の影響が大きい、と。
まとめ
では以上の結果をまとめると、
- 運動がうつ病に効くのはBDNFのおかげではなさそう
- 健康体の人のメンタル改善とかにはBDNFが一役買ってそうだ
- でも運動はうつ病にも効くので是非定期的に!
この辺りを押さえておけば大丈夫かと思います。一応2018年に発表された研究では、メンタルに最も効くのは、まあまあ息が上がるくらいの運動を一日50分くらい!(#7)と言われてます。メンタル改善にはまずはこの辺りを目指すと良さそうですね。
赤羽(Akabane)