筋トレに欠かせないサプリ「HMB」は筋力アップに役立たず！という驚きのメタ分析

赤羽(Akabane)

今回は、トレイニー御用達の人気サプリ「HMB」って本当に効果あるの？というお話です。

まず「HMB」について、ザックリとした説明はこんな感じです。

HMB(Beta-hydroxy-beta-methylbutyrate)とは、アミノ酸「ロイシン」の代謝物である。[筆者訳](#1)

ロイシンといえば、筋トレ界隈でお馴染みの「BCAA」の一角を担う必須アミノ酸の一種として有名ですね。これが体内で代謝されたモノがHMBである、と。ちなみに代謝のメカニズムは以下の通りです。

ロイシン→α-ケトイソカプロン酸→イソバレリル-CoA→ヒドロキシイソ吉草酸(HMB)

こうして体内で代謝されたロイシンは、最終的に5%程がHMBになるんだとか。そしてロイシンには筋合成促進+筋肉分解を防ぐ効能がある！と言われてまして、これがHMBに代謝されるおかげなんだ！と考えられているんですね。HMBが人気なのも頷けるというもの。

ここまでを見ると、筋トレ効率アップにかなり期待できそうなHMB。がしかし、他の研究結果を見てみると案外そうでもないことが分かってしまいました

例えば、2018年に発表されたメタ分析(#2)では、HMBは筋力や筋力量アップに効果がない！という報告が上がっていてびっくり仰天。

中身を見てみると、

大体このような内容になっていました。HMB研究はまだまだ歴史が浅いので研究数は多くなかったんですが、その中から選りすぐりの6件が選ばれております。

では結果はどうだったのか？

結果

まとめると、HMBは筋力アップ、ひいては引き締まった体作りにも大した効果がない！という拍子抜けな結果になっていたんですね。しかもこうした結果は他の影響を与えそうな要素(摂取量、実験期間、トレーニング強度)を調整しても変わらなかったのだとか。

ちなみに2015年にも似たようなメタ分析(#3)が出ておりまして、こちらはHMBで筋分解を抑えられた！との結論に。とはいえ、この時は対象が高齢者だったので、現役バリバリでトレーニングに勤しむトレーニーたちにも効果があるのか？は際どかったんですね。

赤羽(Akabane)

ということで結論、現役のトレーニーたちはHMBをわざわざサプリで摂る必要はなさそう。お金のかけどころはむしろクレアチンやプロテインパウダーかと思います。ただし高齢の方に関しては、HMBで筋肉の衰退を抑えられるかもしれないのでこの点ではアリかと。

参考文献&引用

#1 Carlos Hermano J.Pinheiro,LucasGuimarães-Ferreira,FredericoGerlinger-Romero,RuiCuri,”Chapter 47 – An Overview on Beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB) Supplementation in Skeletal Muscle Function and Sports Performance“,Nutrition and Enhanced Sports Performance
Muscle Building, Endurance, and Strength,2013, Pages 455-463.