赤羽(Akabane)
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ただの知り合いから「仲の良い友達」になるまでにはどのくらいの時間が必要なのか?親友になるには…
早速ですが、この問題について面白い研究が出ていたので中身を覗いてみましょう。
「友達を作るのにどのくらい時間がかかる?」という研究
これは2018年にカンザス大学が発表した研究(#1)で、大きく2つの実験を行っています。まずは実験①から見ていきましょう。
実験①
引っ越してきてまだ6ヵ月以内の355名(平均32.9歳)を対象に、新しい顔見知りたちとどのくらいで打ち解けたか?を調査しました。
具体的には、彼らが引っ越してきてから会った人について考えてもらって、その後の関係はどんな感じなのか?親密度や過ごした時間はどのくらい?一緒にやった事はある?など色々答えてもらった様子。
すると結果は、次のようになりました。
- 一緒に過ごした時間はより親密な友達関係と相関が見られた
- 休日のアクティビティなどで共に過ごす時間もより親密な友達関係に繋がった
- 職場や学校で過ごした時間は親密度と逆の相関が見られて、話をした時間は親密度と相関が見られなかった
つまり、二人でちゃんと予定を取り決めて過ごした時間が長いほど仲良くなる確率が高くて、その間ずっと話をしている必要は必ずしもない、と。本当に仲が良ければ沈黙すら楽しめるってやつですね。
そして具体的な時間を見てみると、
- 「ただの知り合い→まあまあの友達」と見做される確率が50%以上だったのは、94時間くらい一緒に過ごした場合
- 「まあまあの友達→仲の良い友達」と見做される確率が50%以上だったのは、164時間くらい一緒に過ごした場合
- 「仲の良い友達→親友」と見做される確率が50%以上だったのは、219時間くらい一緒に過ごした場合
こんな感じでした。全体的に結構時間がかかる印象ですが、この調査は過去数か月の関係の変化を見ていて、その分かかった時間が長く見積もられている可能性はありますね。
では次に実験②を見ていきましょう。
実験②
引っ越してきたばかりの新入生の学生112名(平均18.3歳)を対象に、まず学校が始まってから会った2名の知り合いを選んでもらいました。
この時選ばれた2名は大半が寮で出会った人で、2割ほどがクラスメイト、といった感じでした。
でその後、2名との親密度や過ごした時間、アクティビティ等を9週間の調査期間で3回報告してもらったようです。
するとこの調査から、新たに次のようなことが分かりました。
- 毎日の会話の内容が「近況トーク」「まじめな話」「面白トーク」などエピソードトークだった場合、一緒に過ごした時間よりも大きな割合で親密度と相関が見られた
- 毎日の会話の内容が「ペットやスポーツの話」「天気の話」みたいな当たり障りない話だった場合は、親密度に影響しなかった
つまり話している時間はあまり関係なかったけれど、話の内容は親密度を上げるのに重要だということですね。察するに、その場の二人がお互い当事者になれるようなトーク内容だと気持ちも入ってきやすい、といった感じでしょうか。
そして具体的な時間を見てみると、
- 「ただの知り合い→まあまあの友達」と見做される確率が50%以上だったのは、43時間くらい一緒に過ごした場合
- 「まあまあの友達→仲の良い友達」と見做される確率が50%以上だったのは、57時間くらい一緒に過ごした場合
- 「仲の良い友達→親友」と見做される確率が50%以上だったのは、119時間くらい一緒に過ごした場合
こちらはこんな感じ。調査期間自体がより短くなっているので、実験①と比べてもコンパクトになりました。
注意点・まとめ
以上の実験をまとめて、研究者は「友達になるまでに必要な時間」を次のように見積もっています。
- 知り合い→そこそこの友達:会ってから40~60時間を共に過ごそう
- そこそこの友達→仲の良い友達:80~100時間を共に過ごそう
- 仲の良い友達→親友:120~160時間で十分なケースもあったが、概して6週間以上の期間で200時間は共に過ごそう
こうした結果は、過去の似た研究の結果とも近い感じになっていて、大体このくらいかかるんだな~という目安になりそうです。
ただ、やはり調査方法としてセルフレポート(自己申告制)は主観やバイアスが混じりやすいので、数字はあくまで目安として押さえておいた方が良さそうです。
赤羽(Akabane)
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#1 Jeffrey A. Hall(2018). How many hours does it take to make a friend? Journal of Social and Personal Relationships, Volume: 36 issue: 4, page(s): 1278-1296.