赤羽(Akabane)
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友達量より質論争!孤独を打ち破るには友達の量よりも「質」が大切らしいぞ
早速ですが、この問題について面白い研究が出ていたので中身を覗いてみましょう。
「友達を作るのにどのくらい時間がかかる?」という研究
これは2018年にメイノース大学の教授らが発表した研究(#1)で、アメリカに住む1839名の成人(18~70歳、平均44.55歳)を対象に調査を行っていて、孤独感を打ち破るには友達の量と質どっちを取るべき?というテーマになっています。
まずこの調査では、対象者らに「孤独感」「幼少期のトラウマ」「主観的な幸福度」「うつや不安症状」といった項目のアンケートを行いました。
この中で人間関係の量と質についても調査をしていて、友人と呼べる人の数やその質、周囲とどのくらい分かり合えていると思うか?などの聞き取りがありました。
するとこうした調査の結果、孤独レベルは大きく次の4種類に分けられることが分かりました。
孤独レベル4つのタイプ
- 低い孤独感(52.8%, 984名):最も孤独レベルが低い部類。うつや不安の傾向も最も低い
- 社会的孤独感(8.2%, 138名):感情や気持ちの面での孤独度は高くないものの、社会的な疎外感などを感じる部類。次点でうつや不安の傾向が低い
- 感情的孤独感(26.6%, 472名):社会的な疎外感はあまり感じないものの、感情や気持ちの面での孤独度が高い部類。うつや不安の傾向が高め
- 社会&感情的孤独感(12.4%, 222名):この中で最も孤独レベルが高い部類で、両者を兼ね備えている。
ここから分かるのは、社会的な疎外感からくる孤独よりも、心理的に感じる孤独、つまり「周りとの心の距離が広がること」がメンタルに大きく響くということ。
では孤独感を高めてしまうモノは一体何だったのか?他に分かったことも見てみると、
- 友達や人間関係の「質」が低いと高い孤独感に繋がっていた
- 友達や人間関係の「量」には孤独感との繋がりが見られなかった
- 幼少期のトラウマは高い孤独感に繋がっていた
こんな感じでした。どうやら、孤独感に深く関わるのは友達の量より「質」であった、と。これは例えば、周りの友人との親密さであったり、どのくらい理解してくれているか?といったポイントのことですね。
注意点・まとめ
ただし注意点も幾つかあって、
- 70歳以上の高齢者は含まれていない:高齢になると孤独感が増す傾向があるので、この年齢層も是非とも調査対象に含めたかったところ
- 舞台はアメリカのみ:他の地域や国、文化圏でも同じような結果が得られるか?は分からない
- 研究の質は低い:横断研究(調査時点から過去のデータを見ていく)なので、他の要素の影響を調整しきれない(例..運動習慣、日々のストレス度、家庭環境、食事etc..)
この辺りは押さえておくとよろしいかと思います。高齢者だとどうなるか?他の国・地域で同じことが言えるか?など分からない点も多い、と。
では以上を踏まえて、最後に今回の内容をまとめます。
- 周囲との人間関係や友達の質が低いと感じると孤独感も高かった
- 孤独感は、社会的な疎外感よりも、心理・感情面の孤独のほうが強力だった
- 孤独を打ち破るには友達の量より「質」が大事みたい
個人的には、割とこの結果には納得できると思っています。2011年に発表されたメタ分析(#2)でも、孤独は社会からの疎外感のような物理的な距離ではなくて、人との間に感じる心理的な距離のほうだ、という定義があったりしますので。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Hyland P, Shevlin M, Cloitre M, et al. Quality not quantity: loneliness subtypes, psychological trauma, and mental health in the US adult population. Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol. 2018 Oct 6.
#2 Christopher M. Masi,Hsi-Yuan Chen,Louise C. Hawkley,John T. Cacioppo. A Meta-Analysis of Interventions to Reduce Loneliness. Pers Soc Psychol Rev. 2011 Aug; 15(3).