赤羽(Akabane)
目次
日頃のストレスを少しでも和らげるには「とにかく笑うこと」が大切みたいだ
早速ですが、このテーマについて参考になるデータを見ていきます。
よく笑うことがストレス対策になる!という調査結果
2020年にバーゼル大学が発表した研究(#1)によると、日頃からよく笑うことがストレスのバッファー(緩衝材)的な役割をしてくれるかもしれないようです。
この研究は、心理学部の大学生41名(平均21.6歳、女性33名)を対象に行われたものでして、3ヶ月の実験期間が設けられました。
実験では、スマホを使って、各自が14日間連続でESMを記録し続けるという介入を行っていて、期間中は一日に8回ランダムな通知を受け取る仕組みになっていました。その時に答える項目としては、直前の通知〜その瞬間までにあった笑いの頻度/レベル、ストレスフルな出来事、ストレス度がありました。
*ESM…「the Experience Sampling Method」の略で、ランダムに鳴る通知を受けたらその瞬間の気持ちなどを記録していく方法
そして調査の結果わかったのは、以下のようなことだったようです。
- ストレスフルな出来事と実際に感じるストレス度合いの相関関係は、同時に笑う頻度が多いと弱まっていた
- 笑う頻度が高いと、ストレスフルな出来事があってもストレス度は低下する傾向も見られた
- 一方で、笑いのレベルに関してはストレス度と目立った関わりは見られなかった
つまり、ストレスフルな出来事があったとしても、同時に頻繁に笑えるような機会があれば実際に感じるストレスは緩和される、と。
一方で、笑いが爆笑なのか微笑み程度なのか、という点はさほど重要ではないという意外な結果も。これについては、頻度よりも程度の方が正確に思い出すのが難しいからでは?という可能性があります。頻度であれば、「〇〇回くらい」と大体覚えていられるものの、「どのくらい笑けたかな」という点は結構曖昧ですからね。つまり、こうしたデータの精度に問題があったのでは?と。
注意点・まとめ
注意点としては、ざっと以下の点を押さえておくと宜しいかと。
- サンプルは女性の割合が多い: 性別間での差も調べているが、男女の比率が偏っているので、男性に関するデータとしては弱い
- サンプルはバーゼル大学の学生のみ: 若い学生が大半なので、高齢者や他の文化圏に住む人でどこまで一般化できるかは分からない
- 笑いとストレスの間の時間間隔は曖昧: 笑いとストレスフルな出来事の間隔によって、効果は変わるのか?変わるとすればどの程度なのか?という点は不明
とはいえ、笑いには生理学的に免疫力を高めたり、ポジティブな感情を高める効果があることがわかっていますし、割と共通して今回のメリットが得られる可能性は高いかと思われます。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 日頃からよく笑うことがストレスのバッファー(緩衝材)的な役割をしてくれるかもしれない
- 今回の実験では、たとえストレスフルな出来事があったとしても、同時期に笑う頻度が多ければ、実際に感じるストレスが弱まる結果になった
- 一方で笑いのレベルに関しては、ストレスフルな出来事と実際に感じるストレスとの関係に大した影響力はなかったようだ
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Zander-Schellenberg T, Collins IM, Miché M, Guttmann C, Lieb R, et al. (2020) Does laughing have a stress-buffering effect in daily life? An intensive longitudinal study. PLOS ONE 15(7): e0235851. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0235851
※当記事はメンテナンス済みですが、2020年9月13日に公開された時点での内容となっておりますので、情報が古くなっている場合もあります。