メタ分析: ラベンダー精油カプセルで抗不安薬以上に不安症状の緩和効果が

メタ分析: ラベンダー精油カプセルで抗不安薬以上に不安症状の緩和効果が

メタ分析: ラベンダー精油カプセルで抗不安薬以上に不安症状の緩和効果が

今回は「飲むラベンダーエッセンシャルオイル」についてのお話です。

ラベンダーと言えばアロマのイメージが強いかと思いますが、実はゲルやカプセル状で飲むという方法もあります。

というわけでこの記事ではラベンダー精油カプセルのメンタルヘルスへの効能について見ていきましょう。

毎日160mgのシレキサンで不安症状が改善!

2019年にモナーシュ・ユニバーシティ・マレーシアが発表したメタ分析(#1)では、毎日160mgのラベンダー精油カプセルで不安症レベルを抗うつ薬や抗不安薬以上に改善できる!という結果が出ていました。

この研究では5件の研究から1149名を対象に、6~10週間でラベンダー精油カプセルの不安障害への効能を調べていて、参加者を以下のようなグループに分けて比較しました。

  • ラベンダー精油カプセル(多):毎日160mgのラベンダー精油カプセル(シレキサン)を飲む
  • ラベンダー精油カプセル(少):毎日80mgのラベンダー精油カプセル(シレキサン)を飲む
  • 比較グループ:ラベンダー精油カプセルに似せた偽薬を飲ませるプラセボ or 抗うつ薬(パロキセチン20mg)、抗不安薬(ロラゼパム0.5mg)を飲ませる

実験によって比較グループの中身が異なっていましたが、全体の参加者のうち524名がシレキサン80mg、121名が160mgを飲むグループに分類されたようです。

そして実験前後で不安症レベルを診断ツールでチェックしたところ、以下のようなことが分かりました。

結果
  • 160mgのシレキサンを毎日飲んだグループでプラセボや80mgのグループ、抗うつ薬のパロキセチンを飲んだグループよりも有意に不安症レベルが改善していた
  • 80mgのシレキサンを毎日飲んだグループの不安症レベル改善効果はパロキセチンを飲んだグループと同等だった
  • 一方で、抗不安薬のロラゼパムを毎日飲んだグループは、シレキサン80mg、160mg、パロキセチン、プラセボと比べても不安症レベルに改善が見られなかった

まとめると、160mgのシレキサンを毎日飲むことで抗うつ薬や抗不安薬以上に不安症レベルを改善できた!ということです。

一方で気になるのが副作用ですが、今回報告されたのは消化器系の不調で、吐き気やげっぷ、下痢などでした。その他には特に深刻な副作用は見られなかったようで、比較的安全な部類かと思います。

注意点・まとめ

ただし今回の研究にも注意点が幾つかあって、ザっとこの辺りは押さえておくとよろしいかと思います。

注意
  • 含まれた研究は全てドイツで行われていた:国や文化、人種によって結果が変わるかもしれないので、今回の結果はどこまで一般化できるのか?がハッキリしない
  • 抗うつ薬や抗不安薬との比べての優劣はまだ断定できない:抗うつ薬のパロキセチン、抗不安薬のロラゼパムと比べた実験はそれぞれ1件ずつと検証数が少ないので、まだデータが少ない状況
  • 不安症レベルの診断ツールは一つしか使われていない:「Hamilton Anxiety Scale(HAMA)」というツールでしか検証されておらず、他のスケールを使った場合にどうなるかは分からない

RCTメタ分析ということで、研究の質としては高いはずなんですが、いかんせん研究の規模や期間の短さ、一国でしか実験が行われていない点などが足を引っ張っている印象。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • ラベンダー精油カプセルで不安症状が緩和する効果が確認された
  • データは限られているが、一部の抗うつ薬や抗不安薬を凌ぐ不安症状改善効果が見られた
  • 服用の際は一日160mgで高い効果が見込めそうだ

こんな感じでしょうか。今後はもう少し長期の研究が出てくるともっと参考になりそうですね。

赤羽(Akabane)

ラベンダー精油カプセルは以下が代表的でしょうか。不安障害などに悩まされている方であれば、メンタル改善に向けて試してみてもよろしいかと思います。

参考文献&引用

#1 Yap WS, et al. Efficacy and safety of lavender essential oil (Silexan) capsules among patients suffering from anxiety disorders: A network meta-analysis. Sci Rep. 2019 Dec 2;9(1):18042.