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紙たばこから電子たばこに変えることで心血管に健康的な効果はあるのか?
今回は「紙たばこ→電子たばこに変えた場合の健康効果」についてのお話です。
最近ではすっかり電子たばこが台頭してきていて、紙たばこより有害物質が少ない(#1)という面が取り上げられて、従来のたばこより健康だ!なんて言われてたりします。
では実際のところ、紙から電子たばこに乗り換えた場合の健康的なメリットでどうなのよ?というテーマについて見ていきましょう。
たった一ヶ月で紙たばこから電子たばこに変えるメリットがある?
2019年にダンディー大学が発表したRCT(#2)によると、紙たばこから電子たばこに変えるとすぐに血管の健康にメリットが表れるかも!とのことでした。
この研究では、一日15本を最低2年以上吸っている114名の中年の喫煙者を対象に、彼らを以下の3つのグループにランダムで分ける試験を行いました。
- 紙たばこを吸い続ける(禁煙の意思がない喫煙者40名)
- ニコチンを含む電子たばこに変える(禁煙の意思がある喫煙者37名)
- ニコチン含まない電子たばこに変える(禁煙の意思がある喫煙者37名)
そして4週間上記の生活を続けてもらって、実験の前後で血流や血管、コレステロール値などを測定した結果、こんなことが分かったようです。
- 紙たばこを電子たばこに変えてから1ヵ月で血管内皮機能と血管の弾力性が有意に改善した
- このメリットは男性より女性で大きく得られた
- その他炎症性サイトカインやコレステロール値、血圧などには有意な効果はなかった
まとめると、たった1ヵ月でも電子たばこへのシフトで血流が増加して動脈が拡張したり、血管が若返る効果が確認されたんですね。
更に実験期間全体で見てみると、紙たばこから電子たばこへのシフトで血管内皮機能はニコチン有で5.5~6.7%、ニコチン無しの場合で5.3~6.6%の改善があったみたいです。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、今回の実験期間は4週間と短めなので、長期的にどうなるか?はまだ分かりません。また倫理的に仕方ないことですが、紙たばこのグループだけ禁煙の意思がない喫煙者で構成されていて、この部分が結果に影響を与える可能性もあります。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 電子たばこは従来の紙たばこよりも有害物質が少ないことが分かっていて、この点をかいつまんで従来のたばこよりも健康的だ!と考えられている
- 実験では紙たばこから電子たばこへ変えて1ヵ月で血管内皮機能や血管弾力性の改善が報告された
- いきなり止めるのが辛い場合はまずは電子たばこにシフトする段階を踏んでもいいのかも..?
こんな感じでしょうか。最後の項目については断定はできないものの、電子たばこはニコチン治療よりも紙たばこの禁煙成功率が高い!という報告があったりするので、期待はできるかもしれません。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 K.E. Farsalinos, R. Polosa. Safety evaluation and risk assessment of electronic cigarettes as tobacco cigarette substitutes: a systematic review. Ther Adv Drug Saf, 5 (2014), pp. 67-86.
#2 Jacob George, et al. Cardiovascular Effects of Switching From Tobacco Cigarettes to Electronic Cigarettes. Journal of the American College of Cardiology, Volume 74, Issue 25, 24 December 2019, Pages 3112-3120.