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最重要ミネラル「マグネシウム」
当サイトでは栄養素について度々取り上げていますが、中でも意識しての摂取を勧めているのがマグネシウム。ミネラルの一種としてご存知かと思いますが、実は100を超える酵素の働きを助けるすごいヤツなんですね。
具体的には脳機能アップに欠かせなかったり、睡眠の質を高めてくれるかも!と言われていたりもします。またサプリですが、マグネシウムで糖尿病予防&改善に繋がる!との報告もあったり。
たった1ヶ月のマグネシウムサプリでも血圧が改善する!というメタ分析4ヶ月以上マグネシウムサプリを摂れば糖尿病リスクが下がる!という信頼性高めな研究
といったところで、今回はマグネシウムサプリのもう一つの健康効果について少々。参考になるのが2016年にメキシコのバイオテクノロジー研究所をはじめとした研究者らが発表したメタ分析(#1)です。これはザックリ言うと、短期間のマグネシウムサプリは糖尿病予防or改善につながるか?を観た研究でして、大まかに以下のような内容になっています。
- 21件のRCT研究を精査
- 1362名が対象(2型糖尿病患者を対象にした研究が多め)
- 実験期間は1~6ヵ月間と割と短め
- マグネシウムサプリ vs プラセボ(偽薬)グループで血糖値、インスリン、HbA1c(血糖の指標)、HOMA-IR(インスリン分泌の指標)の数値を測定
期間は短めですが、研究の質はかなりのものです。ちなみにHbA1cとは血液中のブドウ糖と結びついたヘモグロビンを測るメジャーでして、当然血中の糖が多い(高血糖)とこの数値も高くなりますね。一方HOMA-IRは、血糖値やインスリン分泌からその正常性を割りだすメジャーで、こちらも2型糖尿病の重要な数値。結果はこんな感じになりました。
- 血漿のブドウ糖濃度は大きな改善なし(-0.20 mmol/L{-0.45~0.05})
- HbA1cにも大きな改善なし(-0.018 mmol/L{-0.10~0.13})
- インスリンにも大きな改善はなし(-2.22 mmol/L{-9.6~ -5.17})
- HOMA-IRには優位な改善が見られた!(-0.67{-1.20~ -0.14})
辛うじてHOMA-IRだけ改善がみられるだけで、全体的に見るとそれ程すごい効果はなさそう。ただしまだこの研究には続きがありまして、ここから更に細かい分析(サブアナリシス)を行ったんですね。するとこんな結果に。
- 期間が4ヵ月以上の研究ではそれ以下の研究と比べて優位に空腹時血糖値とHOMA-IRが改善していた
- マグネシウムが足りていない人のほうが糖尿病リスク改善の効果は出やすかった
まとめると、マグネシウムサプリで糖尿病リスクを下げたいなら4ヵ月というのが最低ラインみたい。量で言うと360mg/日以上が目安として必要とのこと。
ちなみに今回効果がなかったHbA1cですが、このメジャーはそもそも少なくとも3~4ヵ月の期間をおいて変化を見る数値なので、短期間の実験では効果が出にくいんだ!と考えられております。
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
#1 Simental-Mendía LE, Sahebkar A, Rodríguez-Morán M, Guerrero-Romero F,”A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials on the effects of magnesium supplementation on insulin sensitivity and glucose control.“,Pharmacol Res. 2016 Sep;111:272-282.