赤羽(Akabane)
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日本の大規模調査!新型コロナ(COVID-19)に対する人々のリアクションやメンタルヘルスへの影響には性格や思想が関係している?
人の性格や思想によって新型コロナへの考え方やリアクションが大きく違う?
2020年に九州大学が発表した研究(#1)によると、新型コロナに対する人々の考えや反応は性格や思想などによって大きく異なることが分かりました。
この研究は日本を舞台に2020年4月に行われた1856名(平均47歳)を対象にした調査データを集めたもので、各々の性格や道徳観、政治的な観念などの情報を集計し、こうした要素が新型コロナへの対応やメンタルヘルスの状態とどんな関係にあるのか?をチェックしています。
性格の診断ツールにビッグ5性格診断テストを、メンタルヘルスの診断には不安、うつ症状、ストレスにまつわるツールを使っていました。
それでは、データ分析の結果をカテゴリ毎にザックリ見てみます。
性格
- どの性向でも感染予防に対しては強い意識を持っていた
- 神経症性が強い人ほど、ストレスや不安、うつ症状などメンタルヘルスが悪化していた。感染症の脅威を感じる傾向にあって、医療や情報、モノに不満を抱えていた。一方で予防を心がける姿勢が見られ、人生や仕事への影響も気にする傾向があった
- 誠実性(勤勉性)や協調性が強い人ほど、メンタルヘルスへのダメージは小さかったが、誠実性が強い人では仕事への影響を気にする一面も見られ、こうした不安がメンタルに少なからず影響を与えるかもしれない
- 外向性、神経症性傾向の人では家族への影響を心配する傾向がみられたが、一方で開放性が高い人では家族への影響の心配はあまりなかった
モラル・思想
- 保守的な人ほどメンタルヘルスのダメージは小さく、感染症への意識が強く、医療や周りの人の行動を信頼する傾向が見られた
- 損害回避性向の強い人ほど、メンタルヘルスのダメージは小さく、感染予防や「自分もかかるかもしれない」という意識が強かった
以上の結果を全てまとめると、性格や思想、モラリティの違いに応じて新型コロナに対する考え方や行動は全然違っていた!という感じでしょうか。
性格で言えば、コロナ禍によるメンタルへの悪影響を受けやすいのは神経症性傾向の強い人で、逆に誠実性や協調性傾向の人にはそれほどダメージがないのかもしれません。
思想やモラル面で言えば、保守的な人や損を被るのを特に嫌う人ではあまりメンタルのダメージがなく、感染対策の意識が高いことが分かりました。
注意点・まとめ
ただし注意点として、今回の研究は因果関係を証明するものではありません。今回は集めたデータから相関を導き出す研究デザインだったため、どうしても調査対象外の他要素の影響を考慮しきれないんですね。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 日本全国各地から2000名弱の調査データを集めた研究結果によると、新型コロナに対する人々の考えや反応は性格特性などによって大きく異なることが分かった
- ビッグ5性格診断で神経症性傾向が強い人は、コロナ禍にメンタルヘルスへのダメージを負いやすく、誠実性や協調性傾向が強い人では逆にメンタルヘルスへの影響が少ないことがわかった
- その他思想やモラル面では、保守派や損失回避性向が強い人では感染症への意識が高く、こちらもメンタルヘルスへのダメージは少ないことがわかった
赤羽(Akabane)
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#1 Qian K, Yahara T (2020) Mentality and behavior in COVID-19 emergency status in Japan: Influence of personality, morality and ideology. PLoS ONE 15(7): e0235883. doi:10.1371/journal.pone.0235883