赤羽(Akabane)
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病理学的に新しく分かった「不適応な7つの性格」とは?
定番の病理学的な性格診断ツールを2つを組み合わせた実験
2019年にバルセロナの研究チームが発表した研究(#1)によると、病理学的に見ると人には「C・D・N・P・D・A・S」の7つの性格特性が核に備わっているようです。
この研究では、病理学的な性格特性診断ツールとして名高い「DSM-5(#2)」と「DAPP-BQ(#3)」で提唱されているモデルを組み合わせるという実験を行っていました。DSM-5は全220問、DAPP-BQは全290問の診断ツールでして、それぞれ以下のような提唱モデルになっています。
DSM-5の5つの核
- Asociality(非社交性)
- Negative Affect(ネガティブ感情)
- Psychoticism(精神病傾向)
- Disinhibition(脱抑制)
- Antagonism(敵意)
*脱抑制…衝動や感情の歯止めが利かなくなりやすい性質
DAPP-BQの4つの核
- Compulsivity(衝動性)
- Emotional Dysregulation(感情の不安定性)
- Inhibition(抑制)
- Dissocial Behavior(反社会的行動)
実験では414名の精神科外来患者(17~64歳)を対象に、こうした診断テストに回答してもらい、両者にどんな共通点、または違いがあるのか?などを分析していったようです。
すると分析の結果、以下7つの性格が病理学的なコアとして浮かび上がりました。
精神病理学的に見られる性格の7つのコア
- Compulsivity(衝動性)
- Detachment(解脱)
- Negative Affect(ネガティブ感情)
- Psychoticism(精神病傾向)
- Disinhibition(脱抑制)
- Antagonism(敵意)
- Submissiveness(従順さ)
上記の画像は分析の流れをまとめたものです。途中の細かいプロセスは省略していますが、まずその性格は内面化されるものなのか、それとも外面化されるものか?で分類し、最終的に7つの性格特性にたどり着いています。
こうした分析から、「DSM-5」と「DAPP-BQ」は共通点が多く、互換性が高いということも分かっています。特に”ネガティブ感情”の項目は両者で強く共通しており、不適応な性格に根強い性質であることがうかがえます。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- サンプルは限定的: 一地域の精神科外来患者のみを対象にしており、人格障害を抱えていない人や他の国・文化圏の人でどこまで一般化できるかは未知数
- 今回のモデルではカバーしきれていない性格もまだある: 支配欲や不誠実性、多動性、注意欠陥など、他の不適応な性質は対象に含まれていない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- Compulsivity(衝動性)
- Detachment(解脱)
- Negative Affect(ネガティブ感情)
- Psychoticism(精神病傾向)
- Disinhibition(脱抑制)
- Antagonism(敵意)
- Submissiveness(従順さ)
赤羽(Akabane)
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#1 Gutiérrez F, Ruiz J, Peri JM, Gárriz M, Vall G, Cavero M. Toward an Integrated Model of Pathological Personality Traits: Common Hierarchical Structure of the PID-5 and the DAPP-BQ. J Pers Disord. 2019 Jun 18:1-S18. doi: 10.1521/pedi_2019_33_431. Epub ahead of print. PMID: 31210573.
#2 Hopwood, C. J., Thomas, K. M., Markon, K. E., Wright, A. G. C., & Krueger, R. F. (2012). DSM-5 personality traits and DSM–IV personality disorders. Journal of Abnormal Psychology, 121(2), 424–432. https://doi.org/10.1037/a0026656
#3 Bagge CL, Trull TJ. DAPP-BQ: factor structure and relations to personality disorder symptoms in a non-clinical sample. J Pers Disord. 2003 Feb;17(1):19-32. doi: 10.1521/pedi.17.1.19.24055. PMID: 12659544.