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マッスルメモリーの存在が実験で確認された!
そこで今回は、そのマッスルメモリーがヒトを対象にした研究によって遺伝子レベルで存在が確認された!という朗報を共有したいと思います。
マッスルメモリーの存在がヒトを対象にした遺伝子研究で判明したようだ
これは2018年に英国の大学が共同で発表したDNA研究(#1)で、ゲノムワイド解析の最新技術を使用して筋トレのDNAにもたらす変化を追ったもの。
- 8名の筋トレ未経験男性が対象(平均27.6歳、1名が終盤ドロップアウト)
- 7週間の筋トレ(週3回)→7週間のオフ→7週間の筋トレ(週3回)という流れで計21週間の実験を行う
- 上の各段階ごとに骨密度、大腿四頭筋の筋力、筋肉生検を行う
ザっとした流れは、筋トレ未経験者がまず筋肉をつけるべく筋トレ、そしてしばらくサボり期間をおいて、再び筋トレを再開するんですね。結果はこんな感じになりました。
- 最初の7週間で参加者の筋肉は増え、休憩をおいて筋肉は落ちた
- 最後の7週間で、最初の7週間を上回る筋肥大効果が見られた
まずは筋トレをしたら筋肉がついて、サボったら筋肉が落ちたという当たり前の結果が出ました。そして注目は、最初の7週間よりも最後の7週間のほうで筋肉の成長がみられたという点ですね。
更にこうした差が出たのは決して偶然ではなく、遺伝子レベルで変化が観測されていたとのこと。具体的には、筋トレフェーズ時、参加者たちの筋肉の遺伝子に低メチル化領域がたくさん観測されたようです。ちなみに「低メチル化」が起こると遺伝子の発現が開放、逆に高メチル化は遺伝子の発現スイッチをOFFにしてしまうんですね。
そしてポイントは最後の筋トレフェーズ。この時期に筋肉の遺伝子が最も多く低メチル化を起こしていたとのこと。これはすなわち、初回よりも二度目のほうが筋肉が付きやすくなっていたということです。
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
#1 Robert A. Seaborne, Juliette Strauss, Matthew Cocks, Sam Shepherd, Thomas D. O’Brien, Ken A. van Someren, Phillip G. Bell, Christopher Murgatroyd, James P. Morton, Claire E. Stewart & Adam P. Sharples ,”Human Skeletal Muscle Possesses an Epigenetic Memory of Hypertrophy“,Scientific Reportsvolume 8, Article number: 1898 (2018).