赤羽(Akabane)
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筋トレの順番で筋力アップや筋肥大の効果はどのように変わるのか?
よく言われるのは、多関節種目(複数の関節が動いて色々な筋肉を同時に使う)を先にやって、単関節種目(一つの関節が動いて局所の筋肉を使う)は後にやるのがイイ!みたいな話ですね。
では筋トレの順番によって筋肉への効き目はどう変わるんでしょう?新しく参考になるデータが出ていたので、早速見ていきましょう。
- 多関節種目..ベンチプレス、スクワット、デッドリフトなど
- 単関節種目..バイセップカール、ダンベルフライ、レッグエクステンションなど
筋トレの順番は筋力アップを狙いたい種目を先に!後は大して変わらん!というメタ分析
2020年にロンドリナ州立大学が発表したメタ分析(#1)によると、筋力アップを狙いたい種目はやっぱり先にやった方がいい!ということが改めて分かったようです。
この研究では、11件の関連研究から268名の男女を対象に、多関節と単関節種目をどちらを先にやるか?で筋力アップや筋肥大効果に差が出るのかを総まとめしています。
実験期間は平均9週間(6〜12週)で、対象者には筋トレ経験者から初心者、アスリートまで老若男女幅広く含まれてました。
そして実験前後で筋力や筋肉量をチェックしたところ、以下のようなことが分かりました。
- 筋力アップに関しては、先に行った種目の方が効果が高く見られた(多関節…ES = 0.32; p = 0.034, 単関節…ES = -0.58; p = 0.032)
- 筋肥大に関しては、多関節と単関節の順番によって効果に差はなかった(ES = 0.03; p = 0.862)
ここから言えるのは、筋トレ種目の順番は筋力アップには影響するけれど、筋肥大へは大して影響がない!ということ。筋力アップを狙いたい種目は先にやるべし!という話が改めて裏付けられました。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザッと以下の点は押さえておくとよろしくかと。
- サンプルサイズは小さい:メタ分析ですが全体の参加者数は200名程度と少ないので、統計的なパワーは弱い
- いくつか質の低い研究があった:トレーニングへの取り組み具合(遵守率)を報告していない研究や、トレーニングをしっかり監督していたか?が分からない研究が数件ずつあった
- 筋肥大の効果測定に問題があった:例えば上腕二頭筋の筋肥大効果を調べた研究では、単関節種目にバイセップカールを行う一方、多関節種目にラットプルダウンを持ってくるなど、多関節種目がその部位をメインで刺激する種目でないことがあったりした
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 筋トレの順番で効果が変わる!というのは間違いなさそう
- 今回の総まとめでは、筋力アップを狙いたい種目は先に持ってきた方が効果があるが、筋肥大に関しては順番は関係ない!という結論になった
- 「優先したい種目は先に持ってくる」というスタンスでやっていくのがよさそう
こんな感じでしょうか。筋トレの順番の筋肥大への影響に関しては、「事前疲労法」に代表されるように、先に単関節種目で特定の部位を疲れさせてから、その部位を使う多関節をやった方が筋肥大にも効く(#2)という報告もあったりして、現段階では意見が割れています。上記の注意点もありますし、この辺についてはもう少し様子見かなと思います。
赤羽(Akabane)
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#1 João Pedro Nunes, et al. What Influence Does Resistance Exercise Order Have on Muscular Strength Gains and Muscle Hypertrophy? A Systematic Review and Meta-Analysis. Eur J Sport Sci, 1-9 2020 Feb 28[Online ahead of print].
#2 Ribeiro, A. et al. (2019). The potential role of pre-exhaustion training in maximizing muscle hypertrophy: A review of the literature. Strength and Conditioning Journal, 41(1), 75–80.