赤羽(Akabane)
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ナルシシストが失敗から学ばない理由:「後知恵バイアスが都合よく働きまくっているから」
ナルシシストはよく「自分大好き人間」と称される人間の性格特性でして、いわゆる「ダークトライアド」の一角を担っています。詳しくは以下をご覧ください。
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ナルシシストは後知恵バイアスに陥りやすく失敗してもあまり学ばないようだ
2020年にオレゴン州立大学が発表した研究(#1)によると、ナルシシストの傾向が強い人は、後知恵バイアスに陥りやすく、失敗してもそこからあまり学習しないということが分かりました。
この研究では、計787名を対象に4つの実験を行っていまして、全体的に以下のような仮説を掲げていました。
- ナルシシストは、自分の判断が正しければ後知恵バイアスを発動させ、間違っていれば逆後知恵バイアスを発動させるのでは?
- ナルシシストは、自分の判断が間違っていても、現実を直視しようとせずに学習しないのでは?
- 自己省察やクリティカルシンキングが良くできるかどうかが、自分の間違いから学ぶ姿勢に大きく関わっているのでは?
- ナルシシストが失敗や間違いから学ぼうとしないのは、彼らが自分の能力を高く評価したり、それが脅かされそうになると自己防衛をする姿勢が関係しているのでは?
逆後知恵バイアスは、自分の間違いが分かってから「そうなるなんて、一体誰に予測できたんだ?」と逆に開き直って自分の評価を保とうとする心理でして、これも自分の評価は是が非でも下げたくないナルシシストによく見られるんじゃないの?と。
対象は学生から実際に人事を担当しているワーカーまで幅広く、実験の内容は「人事部として経営不振な小売業者に適切な人材を選ぶ」というものが主軸でした。候補者は二人に絞られていて、そのうち一名を選ぶのですが、結果的にどちらも採用になります。そして、その後の二名の職場での働きぶりは明暗が分かれ、片方は好調、もう片方は不調。参加者らがどちらを選ぶか?という点で彼らを均等にランダムで振り分け、ナルシシスト度やその後の反応を分析していくという流れになります。
そして上記の実験結果をまとめると、ザっとこんな感じになりました。
- ナルシシスト度が高い人は、そうでない人よりも好調な候補者を選んだ場合に後知恵バイアスが高く、不調な候補者の場合は後知恵バイアス度が低かった
- ナルシシストは自己省察度が低く、ナルシシスト傾向が低い人では自身の判断からより学習しようという姿勢が見られた
見たところ、大体研究チームの仮説の通りになっていますね。ナルシシスト傾向が強い人は、正しい判断の時は自分の正しさを強調して、間違った判断だった時はそれを状況のせいにしがちみたい。
またこうした結果には、自分の思考を振り返ったり、客観視したりする「クリティカルシンキング」が影響している可能性も示唆されました。どうやら、ナルシシストほど自分を客観的に見つめ直す作業を怠るようで、これが後知恵バイアスに関係してるのではないか?と。
注意点・まとめ
ただし注意点として、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 参加者はアメリカ在住の人のみ: 性格の分布は文化圏によっても異なるので、他の国や文化圏の人にどこまで当てはまるか?は分からない
- 学習度合いは主観によるチェックのみ: 正誤にかかわらず自分の判断からどこまで学べているか?は各参加者らの主観的な報告を頼りにしていて、いまいち正確性に欠ける
幅広い層を対象に実験を行っていたり、サンプルサイズも結構確保できている点ではなかなか良かったですが、今後も課題はありそうです。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- ナルシシストが失敗から学ばないのは、後知恵バイアスが都合よく働きまくっているから
- 今回の実験では、ナルシシスト傾向が強い人ほど、正しい判断をした時は後知恵バイアスが強く働き、逆に間違った判断をした時は後知恵バイアスが弱まった(≒ 正しい時は自分の正しさを強調し、間違いは状況のせいにする)
- ナルシシスト傾向が強い人ほど、間違いから学習しようという姿勢が見られず、自己省察を怠る傾向が見られた
赤羽(Akabane)
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#1 Howes, S. S., Kausel, E. E., Jackson, A. T., & Reb, J. (2020). When and Why Narcissists Exhibit Greater Hindsight Bias and Less Perceived Learning. Journal of Management. https://doi.org/10.1177/0149206320929421
※当記事はメンテナンス済みですが、2020年10月6日に公開された時点での内容となっておりますので、情報が古くなっている場合もあります。