チョコレートは結局どのくらい健康なのか?慢性病リスクを下げる効果は…

チョコレートは結局どのくらい健康なのか?慢性病リスクを下げる効果は…

赤羽(Akabane)

今回は「チョコレートの健康効果」についてのお話です。

チョコレートは結局どのくらい健康なのか?慢性病リスクを下げる効果は…

チョコレートの健康効果ってちょっと前に取り上げられてたけど、結局のところ、どんなもんなの?

この記事では、上記の疑問について、現時点で参考になるデータを見ていきます。

チョコレートの摂取量に応じてあらゆる慢性病リスクはどうなるのか?: メタ分析

2020年にドイツの研究機関が発表した系統的レビュー&メタ分析(#1)によると、チョコレートを食べる量が増えることで幾つかの慢性病リスクが有意に低下していたことが分かりました。

この研究では、27件の関連研究を集めて、チョコレートのあらゆる慢性病リスクへの効果をまとめてくれています。研究の中身については、ザッとこんな感じです。

分析対象

  • 総死亡リスク(2件)
  • 冠状動脈性心疾患(9件)
  • 脳卒中(8件)
  • 心不全(6件)
  • 2型糖尿病(6件)
  • 直腸結腸がん(2件)
  • 高血圧(2件)

分析内容

  • 調査データから、チョコレートを最も食べる群〜最も食べない群まで対象者を分類して、各リスクを分析
  • チョコレートを食べる量に応じて、上記のリスクにどんな変化があるのか?を分析
  • リスク低下が見られた場合、その限界となる摂取量はどのくらいになるのか?を分析

そして以上の分析の結果、以下のようなことが判明しました。

チョコレートを最も多く摂る群 vs. 最も少ない群

結果
  • 総死亡リスクや冠状動脈性心疾患、心不全、直腸結腸がん、高血圧リスクには有意な低下は見られなかった
  • 脳卒中リスクは14%低かった(RR 0.86; 95% CI 0.76, 0.96, I2 = 61%, P heterogeneity = 0.01)
  • 2型糖尿病リスクは13%低かった(RR 0.87; 95% CI 0.79, 0.97, I2 = 60%, P heterogeneity = 0.03)

チョコレートの摂取量が1日10g増えるごとに…

結果
  • 心不全と2型糖尿病リスクには有意な低下は見られなかった
  • 冠状動脈性心疾患リスクは4%低くなった(RR 0.96; 95% CI 0.93, 0.99, I2 = 29%, P heterogeneity = 0.21, n = 8)
  • 脳卒中リスクは10%低くなった(RR 0.90, 95% CI 0.82, 0.98, I2 = 59%, P heterogeneity = 0.02, n = 7)
  • 総死亡リスクや高血圧、直腸結腸がんリスクについては、データが少なくて分析できなかった

まとめると、チョコレートを食べる量が増えることで、幾らか慢性病リスクが下がる効果が確認されました。ただ、全体的にその下がり幅はあまり大きくは無いですね。

中でも、脳卒中リスクの低下は目を見張るものがあります。チョコレートの摂取量が普段から多い群、さらには量をちょっとずつ増やすごとに、リスク低下のメリットがあるかも…?という可能性が示唆されています。

また詳しく見てみると、冠状動脈性心疾患や脳卒中のリスクを7〜8%減らすには、チョコレートは1日20gまで摂る必要があるようで、これ以上食べてもリスク低下は起こらなかったみたい。たくさん食べればイイ!ということでもないようです。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザッと以下の点は押さえておくとよろしいかと。

注意
  • 含まれた大半の研究では、調査開始時点でのチョコレートの摂取状況しか調べていない: 食事の習慣が長期的にずっと変わらないとは考えにくいので、初回のデータを使って全期間のリスクを分析することは、データの精度を下げるのにつながる
  • チョコレートの種類までは詳しく調査していない: 例えば、ミルクかダークか?でも随分含まれる成分は違うので、今回の結果が具体的にどんなチョコの効果を反映しているのか?がぼんやりしている
  • 一部研究データが少ない部門もあった: 直腸結腸がんや高血圧など、データが足りなくてちゃんとした効果が検証できていないものもある

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • チョコレートの摂取量が最も多い群では、最も少ない群よりも脳卒中や2型糖尿病リスクが有意に低かった
  • チョコレートの摂取量が1日10g増えるごとに、脳卒中や冠状動脈性心疾患リスクが有意に低下していった
  • データの多かった循環器周りの疾患リスクを細かく分析すると、チョコレートのこうした健康効果は1日20g程で最適化されるかもしれないことも判明

赤羽(Akabane)

今回の結果から言えるのは、一つの食品だけで大きく疾患リスクが低下するということはあまりない!ということでしょうか。今回の結果にも、少なからずほかの食事の影響も残っていそうですし…個人的には、ダークチョコレート(カカオ含有量多めの)であれば、おやつにつまむのはアリだと思います!

 
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参考文献&引用

#1 Morze J, Schwedhelm C, Bencic A, et al. Chocolate and risk of chronic disease: a systematic review and dose-response meta-analysis. Eur J Nutr. 2020;59(1):389‐397. doi:10.1007/s00394-019-01914-9

※当記事はメンテナンス済みですが、2020年6月21日に公開された時点での内容となっておりますので、情報が古くなっている場合もあります。