赤羽(Akabane)
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「寝起きがダルい…」深夜の仮眠でスッキリ目覚めるには10分が丁度イイらしい
今回は夜間の仮眠の最適な時間についてのデータを見ていきます。
深夜の仮眠10分 vs 30分!目覚めがスッキリするのはどっち?
2016年に南オーストラリア大学が発表したRCT(#1)によると、深夜の仮眠は30分より10分の方が目覚めがスッキリする!ということが分かりました。
この研究は、31名の成人(21〜35歳)を対象に、3日間に渡る実験を行ったものです。1日目は全員に22:00〜7:00で普通に睡眠をとってもらい、その後2日目の夜に参加者を以下の3つのグループに無作為に振り分けました。
- 30分仮眠する
- 10分仮眠する
- 仮眠なし
*仮眠は全グループ共通で深夜に済ませ、午前4:00までに起床。夜勤の仮眠みたいなイメージ
そして、1日目の睡眠の後と2日目の上記の仮眠の後で、全員に注意力や認知機能を確認するテストを行い、疲労感や眠気、主観的な認知パフォーマンスの度合いもチェックしたようです。また、睡眠中の様子は質の高い「睡眠ポリグラフ」で測定していました。
ちなみに空き時間はカードゲームで遊んだり、他の人と喋ったり、音楽を聴いたりと自由な時間を過ごせたようで、実験3日目にも前夜に削られた分の睡眠時間をリカバリーする時間があったみたい。なかなか良心的な実験ですね。
余談はさておき、実験の結果以下のようなことがわかりました。
- 30分仮眠したグループは、10分仮眠よりも徐波睡眠が多かった
- 30分仮眠したグループは、通常の睡眠後と比べて、仮眠後47分経過までずっと注意力が落ち続けていた。一方で10分仮眠したグループでは、仮眠後もパフォーマンスの低下は見られなかった
- 認知機能のパフォーマンスは、30分仮眠のグループでは仮眠後2分までは落ちていた。10分仮眠のグループではこちらも低下は見られなかった
どうやら、全体的に30分よりも10分だけ仮眠をとったグループで頭がしっかり働いているみたい。また予想通りですが、仮眠なしのグループでは注意力も認知パフォーマンスも通常の睡眠後よりもずっと落ちている状態でした。
セルフレポートの結果については、意外にも30分仮眠グループで仮眠後の疲労感アップは見られず、眠気も仮眠前後であまり変わらず。認知テスト結果とは矛盾しますが、原因はよくわかりません。
では、30分の仮眠だとどうして寝起きが悪いのでしょう?考えられるのは、徐波睡眠の長さでして、30分仮眠のグループでは平均して14.6分間がそうでしたが、10分仮眠ではたったの0.8分。徐波睡眠はステージ3・4の深い睡眠にあたるので、あり得る話ではあります。但し、仮眠のトータル時間が関係している可能性は排除できてないので、ハッキリとはわかっていません。
注意点・まとめ
一方で注意点として、ざっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- サンプルサイズは小さい: 参加者数は少なく、その分統計的なパワーは弱くなる
- 認知テストの結果がどこまでリアルの仕事に適用できるか分からない: 結果はあくまで2種類の認知テストに基づいているので、現実の仕事にどこまで一般化できるかは不明
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 夜勤などで深夜に仮眠を取る場合は、30分よりも10分に留めておいた方がスッキリ目覚められるかも
- 深夜に30分の仮眠をとった場合、起床後1時間弱も頭がボーッとして働かなくなることが分かった
- 仮眠なしの場合では一貫してパフォーマンスの低下がみられたので、仮眠はとった方がいいが、10分に留めるのが現時点のベストだと考えられる
赤羽(Akabane)
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#1 Hilditch CJ, Centofanti SA, Dorrian J, Banks S. A 30-Minute, but Not a 10-Minute Nighttime Nap is Associated with Sleep Inertia. Sleep. 2016;39(3):675-685. Published 2016 Mar 1. doi:10.5665/sleep.5550