赤羽(Akabane)
目次
【注意点あり】暴力的なゲームをよくプレイする子どもほど攻撃性が高くなる!という研究結果
こういった意見は定説となっていますが、科学のまとまった見解はどうなっているんでしょうか?
過去24件の研究から1万7000人以上のデータをメタ分析した結果…
2018年にダートマス大学が発表したメタ分析(#1)によると、暴力的なビデオゲームを普段からよくプレイする子どもほど、攻撃性が高いことが分かりました。ただし注意点もあるので、念のため続きを読むのを推奨します。
この研究では、24件の過去研究から17,000名(9〜19歳)以上を対象に、普段からビデオゲームをやる頻度と子どもの攻撃性には何らかの関係があるのか?をまとめています。中には日本人の子どもを対象にした研究もあって、何やら参考になりそうです。
調査期間は3ヶ月〜4年間で、調査の内容は開始時とその後の子どもたちの攻撃性をチェック。同時にグラセフみたいな暴力的なゲームを日頃どのくらいプレイしているか?もチェック。そして両者の相関の強さを効果量で表すという流れでした。
果たして、分析の結果は以下のようになりました。
- 調査開始時(元々)の攻撃性を調整した上で分析したところ、暴力的なビデオゲームのプレイ頻度は子どもの攻撃性の高さと有意な相関が確認された!(効果量 0.08前後)
- こうした傾向は人種によって結構左右され、白人の子どもで最も強く確認された。アジア人ではそこそこで、ヒスパニックでは見られなかった
- 他にも、調査の追跡期間が長期の研究ほど、この効果が高く報告されていた
まとめると、確かに普段から暴力的なゲームをよくプレイする子どもほど攻撃性が有意に高いことが判明しました。しかも、こうした結果は他の要素に関係なく一貫して見られたようで、揺るぎない結果ではないか?と考えられています。
しかし、効果量をよく見てみると、その数値はかなり小さいことが伺えます。こうした現象はよく起こるものでして、”統計的に有意な差”でも、効果は些細なものだったり、現実のリアルな文脈に応用すると大したことなかったりといったことはあり得ます。これは、結果を解釈する側が「統計的有意差」と「効果量の大きさ」のどちらを重視するか?で判断がガラッと変わるかと思います。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ざっと以下の点を押さえておくと良さそうです。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 過去24件の研究から1万7000名以上の子どものデータをまとめたメタ分析によると、暴力的なビデオゲームを日頃からよくプレイする子どもほど、攻撃性が高い傾向にあった
- ところが分析によって出た効果量を見てみると、その数値はかなり小さく、取るに足らない効果である可能性もあり得る。この辺りの解釈は、「統計的有意差」と「効果量の大きさ」のどちらを重視するか?によっても変わってくる
- また、こうした悪影響は人種の違いによっても変わってくる可能性があり、白人の子どもでは攻撃性との相関がより強かった
赤羽(Akabane)
関連記事はこちらもどうぞ
【体罰ダメ絶対】それ、愛のムチじゃなくてただの無知かも?ビンタやスパンキングは子どもの教育に悪影響しかないぞゲームで楽しくエクササイズ!Wii Sportsなどの「エクサゲーム」は脳トレになるのか?eスポーツの盛り上がりの裏で…ゲーム文化は睡眠に悪影響?競技者たちが取るべき対策とは?参考文献&引用
#1 Prescott AT, Sargent JD, Hull JG. Metaanalysis of the relationship between violent video game play and physical aggression over time. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018 Oct 2;115(40):9882-9888. doi: 10.1073/pnas.1611617114. PMID: 30275306; PMCID: PMC6176643.
#2 Ferguson, C.J. (2008), The school shooting/violent video game link: causal relationship or moral panic?. J. Investig. Psych. Offender Profil., 5: 25-37. doi:10.1002/jip.76
#3 Ferguson CJ, Kilburn J. The public health risks of media violence: a meta-analytic review. J Pediatr. 2009 May;154(5):759-63. doi: 10.1016/j.jpeds.2008.11.033. Epub 2009 Feb 23. PMID: 19230901.