ダイエットの落とし穴！カロリー制限で痩せてもすぐリバウンドするのは何故なのか？

赤羽(Akabane)

今回は「カロリー制限で痩せてもすぐにリバウンドするのはどうして？」というお話です。

「そりゃもちろん根性が足りないからだろう！」という声が聞こえてきそうですが、今回は科学的に見た体の仕組みから見ていきましょう。

まずはそもそも何でカロリー制限なの？という点からおさらいしておきます。

これはシンプルに、一日の総カロリー摂取量がダイエットに一番影響するから。

そもそも「痩せたいならカロリーを減らせ！」というのはよくある話で、これは過去にも紹介した通り、

結果

こうした結果が元になっています。つまり摂取する栄養の割合を変えたところで、カロリー総量を減らさなければ大して減量効果も変わらないぞ、ということを意味しています。

この点でカロリーを数えて抑えていくのは効果的に思えるんですが、ここで「リバウンド」の問題が出てきます。

現に2005年の研究(#2)では、元の体重の10%減量に成功した人のうち、たった20%ほどしかその後1年間体重を維持できていない！という切ない事実もわかってまして。

これはTVのダイエットプログラムがいい例で、短期間でダイエットに成功した芸能人がちょっと経つとリバウンドしている、なんてことは割とざらにあるかと思います。

ではどうしてカロリー制限はリバウンドしてしまうんでしょう？次に詳しいメカニズムを見ていきましょう。

参考は2017年にスウォンジー大学が発表したレビュー研究(#3)で、カロリー制限によるダイエットがどうして失敗に終わるのか？を説明してくれています。

一連の流れをザックリ説明すると、こんな感じになりましょうか。

カロリー制限でリバウンド！のメカニズム

つまりカロリーを急に減らすことで、体がそれまで必要としていたエネルギー量に満たなくなってしまい、この変化に順応するために体が省エネモードになってしまうんですね。

そして結果として、今度は省エネモードになった代謝を活気づけようと脳がエネルギー収入を増やす仕掛けを発動させて、食欲が倍増したり食べ過ぎてしまう、という流れです。

ではダイエットで気を付けなければいけないのはどんなポイントなんでしょう？この点を、「ダイエッター」と「食への自制が効く人」の違いと一緒に見ていきましょう。

両者は一見同じに見えますが、厳密には次の点でちょっと違います。

つまり、ダイエッターは一日のカロリー総量にこだわるのに対して、食への自制が効く人は体重管理をしつつ「何を食べるか？」に気を配っているんですね。

実際に2013年のレビュー研究(#4)でも、ダイエッターはその後リバウンドしやすい傾向があったのに対して、食への自制が効く人はリバウンドが起こりにくかったとの報告が上がっています。

では最後の締めくくりに、研究チームの言葉を借りて終わりにしましょう。

シンプルにカロリーを減らすよりも、日ごろ消費している食品が満腹感や満足度、エネルギー収支にどんな影響を与えているか、理解を深めるほうが先決かもしれない。[筆者訳](#3)

カロリーを数えて減らすよりも、普段から食べている食品に気を遣ってみましょう、と。

赤羽(Akabane)

私も研究チームと同意見で、カロリーは量より質を考慮せよ！という考えです。これには脳の報酬系なんかも関わってきますが、興味のある方は以下も併せてご覧ください。

参考文献&引用

#1 Johnston BC, Kanters S, Bandayrel K, Wu P, Naji F, Siemieniuk RA, Ball GD, Busse JW, Thorlund K, Guyatt G, Jansen JP, Mills EJ,”Comparison of weight loss among named diet programs in overweight and obese adults : a meta-analysis.“,JAMA, Vol.312,No.9,pp923-933,2014.

#2 Wing R. R., Phelan S. (2005). Long-term weight loss maintenance. American Journal of Clinical Nutrition, 82, 222S–225S.

#3 David Benton and Hayley A. Young. Reducing Calorie Intake May Not Help You Lose Body Weight. Perspect Psychol Sci. 2017 Sep; 12(5): 703–714.

#4 Lowe M. R., Doshi S. D., Katterman S. N., Feig E. H. (2013). Dieting and restrained eating as prospective predictors of weight gain. Frontiers in Psychology, 4, 577.