赤羽(Akabane)
目次
呼吸を制する者は人生を制す。深呼吸はメンタルとフィジカルを繋ぐ架け橋か
具体的には、呼吸のコントロールを鍛えることで、①体にどんな変化や影響があるのか?、②それによってどんなメンタル面のメリットが得られるのか?を見ていきます。
この問題について参考になるのが、2018年にピサ大学が発表した系統的レビュー(#1)で、15件の研究を集めて、深呼吸によるフィジカルとメンタルへの影響をまとめてくれています。では早速体への変化から見ていきましょう。
(*深呼吸..1分間に10回以下の呼吸で瞑想などは含まない)
呼吸を制するとフィジカルが変わる!
この研究では深呼吸によるフィジカル面の変化を、次のような指標を使って判断しています。
- 脳の活動:脳波計やfMRIで測定
- 自律神経:心拍変動や呼吸性洞性不整脈などを測定
そして対象に含まれた研究をザっと見渡してみると、次のような傾向が見られました。
- 脳ではアルファ波が増えて、シータ波が減少した
- 心拍変動や呼吸性洞性不整脈を高めた(≒副交感神経が優位な状態である)
- 心拍変動の高周波、低周波の変化については研究間で食い違う結果もあった
まとめると、こうした結果は深呼吸によって脳や全身がリラックスした状態になることを示しています。
では次に、こうしたフィジカル面の変化がメンタルにどう影響するのか?を見ていきましょう。
呼吸を制するとメンタルが変わる!
深呼吸によるメンタル面の変化は、主観的な気分を尋ねるようなものもあれば、不安やうつ症状に関する正式なスケールを使っている研究もありました。
こうした実験の全体像をまとめると、次のような傾向が見られました。
- 気分が改善したりリラックス効果があった
- 活力や注意力が高まった
- 不安やうつ症状のスコアが改善した
まとめると、深呼吸によってポジティブ感情が増してネガティブ感情は逆に減ったんですね。こうしたメンタル全般の改善は、フィジカル面で得られたリラックス感によるものだと考えられます。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、今回の結果は健康な18歳以上の人を対象にしている点、瞑想などのテクニックと混同してはいけない点は押さえておいたほうが良さそうです。
呼吸法が一般的に良い影響をもたらすのは間違いないんですが、得られる効果の大きさや種類には個人差があるし、今回の結果は純粋に「呼吸法のみ」の結果を反映しているよ、と。(だから15件しか条件にヒットしなかった)
では最後に、以上を踏まえて今回の内容をまとめます。
- 呼吸法はフィジカル・メンタル両面にメリットがありそう
- フィジカル面では脳波や自律神経といった経路でリラックス感を高めてくれそう
- メンタル面では気分を晴れやかにしたりネガティブ感情を減らしてくれそう
こんな感じでしょうか。呼吸は意識的に自律神経に働きかける数少ない方法なので、ここのコントロールをマスターすればメンタルマネジメントも一気に上達するんではないかと思います。
赤羽(Akabane)
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#1 Andrea Zaccaro, Andrea Piarulli, Marco Laurino, et al. How Breath-Control Can Change Your Life: A Systematic Review on Psycho-Physiological Correlates of Slow Breathing. Front Hum Neurosci. 2018; 12: 353.