飽和脂肪酸は減らすべき?いや、摂取源をチーズにすれば話は別かもよ

飽和脂肪酸は減らすべき?いや、摂取源をチーズにすれば話は別かもよ

赤羽(Akabane)

今回は「脂肪分としてのチーズって優秀!」というお話です。

飽和脂肪酸は減らすべき?いや、摂取源をチーズにすれば話は別かもよ

同じ乳製品でも、チーズとバターでは体内の脂肪やコレステロールなどへの影響が違うことが分かっていますが、実際のところはどの程度なのでしょうか?

乳製品の何からどのくらい脂肪分を摂るか?の割合で脂質プロファイルを比較した実験

2018年にユニバーシティカレッジダブリンが発表したRCT(#1)によると、乳製品の中でもチーズの割合を増やせば脂質プロファイルにはメリット大!みたいです。
脂質プロファイル…コレステロールや中性脂肪、アポリポたんぱく質などの血中の脂質に関する数値

この研究では164名を対象に6週間の比較実験を行なっていて、まず彼らを以下の4グループにランダムで分類していました。

  • 120gの全乳チェダーチーズ(46名)
  • 120gの低脂肪チェダーチーズ+21gのバター(45名)
  • 49gのバター+30gのカゼインカルシウムパウダー+500mgのカルシウムサプリ
  • 120gの全乳チェダーチーズ(31名)

どのグループも1日あたりのエネルギーは同じ、脂肪の摂取量は乳製品から40gになるように調整されています。で4つ目のグループは1つ目と内容は同じですが、実験の前に6週間、チーズを一切取らない期間を過ごしました。

そして実験前後で体内のコレステロールや血糖値、インスリンなどを測定、グループ間で比較!という流れですね。

するとこの実験の結果、こんなことが分かりました。

結果
  • 体型や血糖値、インスリンの数値の変化にはグループ間で有意な差は見られなかった
  • 一日の乳製品からの脂肪を全部チーズから摂ったグループでは、そうでない場合より有意に総コレステロール、LDL(悪玉コレ)が減少していた

まとめると、チーズからの乳製品摂取割合が多いグループな程、総コレステロールとLDLが実験を通して減少していたんですね。

この結果は、現在WHO(世界保健機関)でも推奨されている「飽和脂肪酸は総エネルギーの10%以下に抑えよう」というガイドラインに対して「それって摂取源によるんじゃない?」と疑問を投げかけるものになりますね。

注意点・まとめ

ただ注意点として、参加者は60歳前後を対象にしていたところは押さえておきたいですね。高齢の場合のほうが数値改善が大きく出やすいことが予想されますし、若い方だと違う結果になるかもしれません。

では最後に今回のまとめです。

ポイント
  • 乳製品の中でもチーズの割合が多いとコレステロール値の改善につながるかも
  • 今回の実験でも、バターよりもチーズの割合が多いほど総コレやLDLは減少していた
  • 飽和脂肪酸の主要な摂取源である乳製品だが、摂取源によって抑えるべきか?は変わってくるのかも

こんな感じでしょうか。過去にも「ココナッツオイルとバターじゃ体内のコレステロール値や炎症レベルへの影響が全然違う!」という研究(#2)を取り上げたことがありましたが、チーズとバターでも結構違ってくるようですね。

赤羽(Akabane)

食品によって含まれる栄養素は微妙に違うので、一概に「飽和脂肪酸が豊富だから〇〇は減らそう!」といったアドバイスはするべきではないのかな?と思います。以下もその典型的な例ですので、興味のある方は是非ご覧ください。

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参考文献&引用

#1 Emma L Feeney, et al. Dairy matrix effects: response to consumption of dairy fat differs when eaten within the cheese matrix—a randomized controlled trial. The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 108, Issue 4, October 2018, Pages 667–674.

#2 Khaw KT, Sharp SJ, Finikarides L, et al. Randomised trial of coconut oil, olive oil or butter on blood lipids and other cardiovascular risk factors in healthy men and women. BMJ Open. 2018 Mar 6;8(3):e020167.