アドバイスは「与える方」と「受け取る方」でどちらのメリットが大きいのか?

アドバイスは「与える方」と「受け取る方」でどちらのメリットが大きいのか?

赤羽(Akabane)

今回は「アドバイスはするのとされるのではどっちがいいの?」というお話です。

アドバイスは「与える方」と「受け取る方」でどちらのメリットが大きいのか?

アドバイスって、他人にどんどんした方がかえって自分の勉強にもなるっていうよね〜。実際のところ、どっちの方がいいんだろう?

この記事では、上記のテーマについて参考になるデータを見ていきます。

アドバイスを「与える」「受け取る」で効果を検証した比較実験

2018年にペンシルバニア大学が発表したRCT(#1)によると、悩んでいる時でも、他人にアドバイスをしてあげた方が自分の為にもなるぞ!という結論になっていました。

この研究は、アドバイスを与えるのと受け取るのでは、どちらがメリット大なのか…?というテーマで、2,274名を対象に4つの実験を行ったものです。

実験の内容は、あらゆるジャンルの参加者をランダムに以下の2つのグループに振り分けるというものでした。

  • アドバイスを与える: 学生を対象にした実験では、週1ペースで3週間、文通で後輩に勉強のアドバイスをするという内容だった
  • アドバイスを受ける: 学生を対象にした実験では、「専門家の先生」と名乗る者からの手紙を読んで、返事を書くという内容だった

*この場合、グループ間で比べる項目は、実験後4週間でどのくらい勉強するようになったか?という部分

ジャンルについては、学生のモチベーションを高めるというシチュエーションに始まって、減量や仕事探し、貯金、人間関係での感情のコントロールまで、色々な分野で効果を検証していました。

そして、こうした実験の結果をまとめると、以下のようなことが分かりました。

結果
  • アドバイスを誰かに与えたグループの方が、受け取ったグループよりも多くの時間を学習に割くようになったり、目の前の問題についてモチベーションが高まったと回答する傾向が見られた
  • アドバイスを与えたグループに、「アドバイスは与えるのと受け取るのではどちらがモチベーションに良いと思いますか?」という趣旨の質問をしたところ、与えることのメリットを過小評価する傾向が見られた
  • メカニズムを探ってみると、アドバイスを与えた後には自信も高まっていて、これが目の前の問題に対して行動を起こすモチベーションに繋がっているという可能性が示唆された

まとめると、全体的にどのジャンルにおいても、アドバイスはもらうよりもする方がメリットが大きい!ということが言えそうです。アドバイスをすれば、自分に自信もついて、より行動を起こそうという気概に満ち溢れるんだ、と。

ただ、こうしたアドバイスによるモチベアップ効果には、当の本人たちは気づいていないことが多いようで、実際に試してみても、あまり実感が湧かないのかもしれません。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意
  • 参加者はアメリカのビックデータから集めた: 他の地域や文化圏の人では検証していないので、どこまで一般化できる内容なのか?は分からない
  • 結果の項目が主観的なものだけだった: 今回は、自信やモチベーション、学習時間などを自己申告で報告してもらっていたので、今後はより客観的な指標(成績、体重、仕事探しの結果etc)で測定できれば尚良い

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • アドバイスは、悩んでいる時でもされるよりする方が良いことが分かった
  • 今回の実験によると、アドバイスを与えたグループは、受け取ったグループよりも多くの時間を学習に割くようになったり、モチベーションが高まったと回答する傾向が見られたようだ
  • しかし、こうした恩恵に当の本人たちは気づいていないことが多いらしく、実感はしづらいかもしれない

赤羽(Akabane)

他人にアドバイスをすると、「偉そうにあんなこと言ったし、自分もちゃんとやらないと…」という心理が働きます。これは「認知的不協和」とも呼ばれる心理現象でして、自分の言動や感情の不一致、矛盾を無意識のうちに修正しようとするものです。アドバイスを求めてくる人がいたら、できる限りサポートしてあげる宜しいかと。

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参考文献&引用

#1 Eskreis-Winkler L, Fishbach A, Duckworth AL. Dear Abby: Should I Give Advice or Receive It?. Psychol Sci. 2018;29(11):1797-1806. doi:10.1177/0956797618795472