赤羽(Akabane)
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見た目の有能さは「着ている服」に左右されてしまうらしい
この記事では、上記テーマについて参考になるデータを見ていきます。
人は思った以上に「着ている服」で有能かどうか評価されてしまっているぞ!という実験結果
2020年にニューヨーク大学とプリンストン大学が発表した研究(#1)によると、見た目の有能さは、割とどんな手を使っても、結局着ている服に左右されてしまう!ということが分かったようです。
この研究は、服装と見た目の有能さの関係性を調べるために9つの実験を行ったもので、全体的な実験の内容はザっとこんな感じでした。
- 服によって全80パターンある、人の上半身がペアで写った写真を参加者らに見せて、服の高級感(リッチorプア)によって見た目の有能さの評価がどのくらい違うのか?を検証した
- 「服は無視して考えてください」と伝えたり、「正確に言い当てる程報酬がありますよ」とインセンティブを用意したり、「写真の人物たちは中堅の企業でセールスをしています」と経済的ステータスが同じだと教えたりすることで、服による見た目の有能さへの影響は弱まるのか?を検証した
- 年齢による、服装に対する価値観を埋めるため、若い参加者から高齢者まで、幅広い年齢層を対象にして検証した
*写真は1ペアにつき0.1~1秒間で表示され、その後瞬時に評価をするという流れ。
*有能さは1(全く有能ではない)~9(非常に有能である)のリッカート方式で答える
そして上記の実験の結果をまとめると、以下のようなことが分かりました。
- 実験全体を通して、参加者は写真の人物の有能さを「着ている服」によって判断していて、リッチな服を着ている程「有能である」と評価される傾向にあった
- こうした服装の影響は、年齢に関係なく一貫して確認され、上記の実験内容におけるどの状況でも弱まることはなかった
ここから言えるのは、「人って、思った以上に見た目で有能かどうか判断されてるよね!」ということです。しかも、こうした影響は、あらゆる手段を以てしても打ち消すことはできなかった、と。予想以上に根深い影響であることが分かります。
また、顔写真を表示する時間をいじった場合にも同様の結果が得られていて、人は最短129ミリ秒(0.129秒)で他人の有能さをジャッジしてしまうということも分かりました。何とも衝撃的ですが、改めて過去の第一印象に関する報告が再現されたと言えましょう。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 写真に使われた人物の人種は限られていた: 黒人と白人の2パターンしか検証されておらず、他の人種の場合でどうなるか?は分からない
- 現実の世界にどこまで応用できるか?は分からない: 実際に人と会う場合、大抵は全身がよく見える上に、場所や評価する側のコンディションによって評価内容が左右されるかもしれない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 見た目の有能さは「着ている服」に左右されてしまうらしい
- 実験全体を通して、参加者は写真の人物の有能さを「着ている服」によって判断していて、リッチな服を着ている程「有能である」と評価される傾向にあった
- しかもこうした影響は、年齢に関係なく一貫して確認され、影響を弱めるためにあらゆる手段を尽くしても依然として残った
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Oh, D., Shafir, E. & Todorov, A. Economic status cues from clothes affect perceived competence from faces. Nat Hum Behav 4, 287–293 (2020). https://doi.org/10.1038/s41562-019-0782-4