赤羽(Akabane)
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便利な必需品「スマホ」の落とし穴!置いとくだけでも集中力とパフォーマンスが低下するという驚きの研究
今や私たちの生活に欠かせないものとなっているスマートフォン。電車に乗れば大半の人がうなだれて小さなデバイスをのぞき込んでいますね。スマホの普及によって、ITは確かに急速な発展を遂げましたが、その副作用も徐々に明らかになってきています。今回はそんなスマホの副作用ともいえる現象をみていきます。
スマホは近くに置いとくだけで集中力とパフォーマンスをごっそり削がれる。という結果
2017年に発表された研究(#1)によると、スマホを近くに置いておくだけでもかなり集中力とパフォーマンスが低下することがわかったようです。これはかなり共感する方が多いのでは?と思います。ザックリと研究の内容を見ていきましょう。
- 520人のスマホユーザーが対象
- 実験室にこもって認知能力タスクをやってもらう
- 彼らを以下のグループに分類
- 「別部屋」グループ…スマホは別部屋に
- 「ポケット/バッグ」グループ…荷物ごとスマホも好きに持ち込む(バッグ中やポケット)
- 「机の上」グループ…机の上に裏返しで指定された位置に置く
つまり’スマホを置く場所’によってグループ分けをしたんですね。そして全員には同じ認知テストをやってもらい、その結果を集計。するとこんな結果に。
- スマホを別部屋に置いたグループが最も成績が良かった
- 順位は下から「机の上」→「バッグ/ポケット」→「別部屋」
- スマホ画面は裏返しにしても意味はなかった
スマホが学業の邪魔になるのは何となくわかるかと思いますが、結果は想像以上でした。
こうした結果になるメカニズムについては、2016年のメタ分析(#2)が参考になるかと。
不安や心配事は脳のワーキングメモリーの容量を激しく食い、認知能力や脳のパフォーマンスを低下させる[筆者訳]
これは177もの関連研究を精査した結論でして、かなり信頼性は高め。どうやら、スマホによる莫大な情報が頭をよぎってしまい目の前のタスクに集中できず、スマホが近くにあればあるほど、集中を削がれるという流れです。まさに「マルチタスク」というやつですね。実際に、論文の研究者も次のように言っています。
スマホを裏返しにしたり、電源をオフにするだけでは意味がない。しかし我々のデータによると、ただ一つの解決策、それは「遠ざけること」である。[筆者訳]
つまり集中したい時にはスマホと物理的に距離をとろうということですね。これは以前紹介した「If Then プランニング」というテクニックでも触れましたが、かなり効果的な策と言えましょう。
赤羽(Akabane)
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#1 Adrian F. Ward, Kristen Duke, Ayelet Gneezy, and Maarten W. Bos,”Brain Drain: The Mere Presence of One’s Own Smartphone Reduces Available Cognitive Capacity“,Psychol Bull. 2016 Aug;142(8):831-64.
#2 Moran TP,”Anxiety and working memory capacity: A meta-analysis and narrative review.“,Psychol Bull. 2016 Aug;142(8):831-64.