赤羽(Akabane)
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「重炭酸ナトリウム(重曹)」が運動や筋トレのパフォーマンスを上げてくれるだと?!
重曹は「重炭酸ナトリウム」の略称で、お掃除の世界ではよく耳にするかと思いますが、実はスポーツの世界でも結構重宝されています。
ザックリした仕組みは、体内が運動によって酸性に傾くのを和らげてくれることで、結果として高いパフォーマンスを発揮し続けられる!というのが筆頭ですね。
「本当に重曹でそんな効果あるのか?」ここからはこの問題について大規模なデータを見ていきましょう。
重曹のエルゴジェニック効果を調べたメタ分析によると…
2012年にハル大学が発表したメタ分析(#1)では、40件の研究から395名を対象に、重曹は運動パフォーマンスを高めるのか?を総まとめしてくれていました。
対象に含まれた各研究ですが、結構色々な種類の体力テストを行っていました。一番メジャーだったのが「エルゴメーター(サイクリング)」で、他には短時間のスプリントもあれば、持久力を試す水泳、筋トレなどなど。
ではまず全体の結果を見ていきましょう。
- 重炭酸ナトリウム(重曹)の運動パフォーマンスへの効果は中くらいだった(ES = 0.36; 95%CI 0.25~0.56)
これは細かい部分を置いといた総合結果ですが、ひとまず重曹のエルゴジェニックサプリとしての効果は確認された感じですね。(*ES..「効果量」といって、直感的に効果の大きさを表している)
もう少し結果を詳しく見ると、こんなことも分かっています。
- よく運動する人よりも遊びでよく動く程度の人で効果が高かった
- 摂取フォームは錠剤よりも液体で飲んだほうが効果が高かった
- 運動の持続時間は効果に影響しなかった
ここから言えるのは、アスリートなど運動のガチ勢よりも、日ごろから普通に運動はするよ?くらいの方に効果的。水に溶かして飲むのが効果的。運動は割と色んな種類に効果があるかも!ということ。
注意点・まとめ
ただ対象者の運動レベルに関しては過去に食い違う結果(#2)も幾つか出ていて、まだハッキリと結論は出せない様子です。
また液体のほうが効果が高かった理由として、【重曹は液体だと味がすぐ分かってしまう】という問題が影響しているかも。つまり実験で隠してグループ分けしたのに、いざ飲んでもらうと「これ重曹っぽいな..」と参加者にバレてしまう可能性が高いということ。これは重大で、プラシーボ効果が起こる要因になります。
では最後に今回のまとめといきましょう。
- 重炭酸ナトリウム(重曹)は運動で体内が酸性に傾くのを和らげる
- 大規模な研究でも、一定の効果が確認されている
- より効果が見込めるケースなど、細かい部分については追試が必要
こんな感じでしょうか。ちなみに副作用としては、主に「消化器不良(#3)」が報告されていますが、これはミネラル系サプリなんかでもたまに見られる副作用なので、比較的安全な部類かと思います。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Peart DJ, Siegler JC, Vince RV. Practical recommendations for coaches and athletes: a meta-analysis of sodium bicarbonate use for athletic performance. J Strength Cond Res. 2012 Jul;26(7):1975-83.
#2 Artioli, GG, Gualano, B, Coelho, DF, Benatti, FB, Galley, AW, andLancha, AH. Does sodium-bicarbonate ingestion improvesimulated judo performance? Int J Sport Nutr Exerc Metab 17 :206–217, 2007.
#3 Cameron, SL, McLay-Cooke, RT, Brown, RC, Gray, AR, andFairbairn, KA. Increased blood pH but not performance withsodium bicarbonate supplementation in elite rugby union players.Int J Sport Nutr Exerc Metab 20:307–321, 2010.