赤羽(Akabane)
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高齢の女性は長生きの為にとりあえず毎日4400歩動くだけで十分かもしれない
よく言われているのは「健康の為には毎日10000歩歩け」というものですが、厳密には万人にとって最適な歩数なんてありません。この歩数を超えないと効果がないなんてこともありませんし、マーケティング戦略の一環として広まったのかな?と思っています。
ただウォーキング自体が健康にイイのは間違いないので、ここでは10000歩より少ない歩数じゃダメなの?という疑問について最近のデータを見ていきましょう。
高齢の女性対象の研究:長生きの為には毎日4400歩でも十分
2019年にハーバード・メディカルスクールが発表した研究(#1)では、アメリカに住む16741名の高齢女性(平均72歳)を対象に、歩数と早死にリスクの関係についての長期調査を行っていました。
この調査では、調査期間の2011~2015年の間で計7日間を起きている間だけ加速度計を着けて過ごしてもらって、参加者らの一日の歩数や運動の強度などを計測しました。
そして4.3年間の調査の間に504名が亡くなって、ここから次のようなことが分かりました。
- 参加者らは平均で一日5499歩を歩いていた
- 一日に2718歩しか歩かない人と比べて、8442歩の人は早死にリスクが58%低かった
- 8442歩の人は早死にリスクが58%低かった
- 5905歩の人は早死にリスク46%低かった
- 4363歩の人は早死にリスクが41%低かった
まとめると、一日をほとんど動かずに過ごす人よりも、意識的に歩数を稼いでいる人ほど5年以内の早死にリスクが低い傾向が確認されたんですね。
そしてこの傾向は一日7500歩くらいまで確認されたようで、それ以降は頭打ちだったようです。このデータだけを見ると、少なくとも高齢女性はわざわざ10000歩まで歩かなくともウォーキングのメリットは得られそうです。
注意点・まとめ
ただし注意点も幾つかあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 対象は高齢の女性のみ:他の年齢や性別の人で同様の早死にリスク低下があるとは言い切れない
- 歩数チェックは7日間のみ:5年ちかくある調査期間のうち代表して7日分の歩数データしか取っていないので、日によって変わる歩数の可能性まで考慮しきれていない
- 参加者はアメリカに住む人のみ対象:国によって食事など早死にリスクに関わってくる生活スタイルは大きく違うので、日本人だと結果が違うかもしれない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 毎日4400歩の高齢女性でほとんど動かない高齢女性より早死にリスクが40%ちかく低かった
- 歩数の内訳についてはウォーキングでも日々の家事など何気ない動作でも関係なかった
- この相関は一日7500歩まで見られたようで、わざわざ10000歩じゃなくていいのかも
こんな感じでしょうか。本当に10000歩動かなくちゃダメなの?と思われていた方にとっては朗報ではないでしょうか。
赤羽(Akabane)
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#1 I-Min Lee, Eric J. Shiroma, Masamitsu Kamada, et al. Association of Step Volume and Intensity With All-Cause Mortality in Older Women. JAMA Intern Med. 2019;179(8):1105-1112.