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走るより鍛えるよりまずは歩こう。話はそれからだ。
「健康のためにはそれなりにキツい運動をしなきゃいけない」というイメージはあるかと思います。キツくない運動なんて意味がない!とすら考える人も多いかと思います。
しかし当ブログではがむしゃらにキツい運動をすることをお勧めしません。その理由の一つは、軽く体を動かすだけでも十分な健康効果が得られることがわかっているからです。今回はその中でも特に「ウォーキング」についてのお話をしていきます。
ウォーキングでダイエット&高血圧も改善
ウォーキングについてまず参考になるのが、2015年に行われたメタ分析(#1)です。この研究では42もの関連研究から計1843人の参加者を調査してくれていまして、中身をザっと見ますと、
- 42の研究(15/42は高齢者対象)
- 総勢1843人(平均年齢58歳、肥満や糖尿、メンタルの病など様々な参加者)
- 期間は3週間~1年間
- 全体の半分近くが女性のみの研究
- 上下の血圧、安静時の心拍数、BMIや体脂肪率、コレステロール値などを測定
こんな感じで、要はウォーキングが健康に良いのか?を調べた信頼性高めな研究なんですね。そして結果は、
- 上(収縮期)の血圧低下 −3.72 mm Hg (−5.28 to −2.17)
- 下(拡張期)の血圧低下 −3.14 mm Hg (−4.15 to −2.13)
- 安静時心拍数低下 −2.88 bpm (−4.13 to −1.64)
- 体脂肪率減少 −1.31% (−2.10 to −0.52)
- BMI減少 −0.71 kg/m2 (−1.19 to −0.23)
- 総コレステロール減少 −0.11 mmol/L (−0.22 to −0.01)
- 最大酸素摂取量増加 2.66 mL/kg/min (1.67–3.65)
- うつ症状スコア改善 効果量−0.67 (−0.97 to −0.38)
各方面でかなり大きな健康改善が見られました。最後にある「うつ症状」の項目の”効果量”というのは、そのまま効果の大きさを表してまして、これが0.7あたりを超えると効果絶大。つまりウォーキングのメンタル改善効果はひとまず大。研究によって期間はまちまちですが、最長でも一年続ければ大幅な健康改善が得られる様子。
そしてもう一つ、ウォーキングに関する2014年のメタ分析(#2)がありまして、こちらでもウォーキングの有難い効果が報告されております。この研究は20ものRCT(ランダム化比較試験)から肥満体型の866名を精査したもので信頼性は高め。結果は次のようになりました。
- HbA1c(ヘモグロビンA1c)が0.5%低下した
- ウォーキングはトレーナーなど他で管理してもらったほうが効果絶大
ヘモグロビンA1cというのは、ブドウ糖と結びついたヘモグロビンの量を表してまして、簡単に言うと血糖値のコントロールがどのくらいうまくできているかを示します。糖尿病の方はこのコントロールが難しく高くなりがちなので、この結果はかなり有難いものなんですね。
ちなみに2000年のワシントン大学メディカルスクールのメタ分析(#3)では、血糖値のコントロールが効かないほどうつ病のリスクが高い!との相関関係が報告されていまして、
- ウォーキングで糖尿病の数値が良くなった
- 血糖の乱高下でメンタルをかき乱されることが少なくなる
- うつ病のスコアも改善!
といったメカニズムも見えてきたり。もちろん他の経路も関係しているので一概にコレだ!とは断言できませんが。
赤羽(Akabane)
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朝30分のウォーキングだけでも血圧が改善されるかもしれない。運動で長生きするには最短たった10分のウォーキングでも効果があるかもしれない。「何だか気分が晴れない…」そんな時はたった10分のウォーキングか呼吸瞑想で十分みたいだ参考文献&引用
#1 Sarah Hanson, Andy Jones,”Is there evidence that walking groups have health benefits? A systematic review and meta-analysis “,British Journal of Sports Medicine,Volume 49, Issue 11,2015.
#2 Qiu S, Cai X, Schumann U, Velders M, Sun Z, Steinacker JM,”Impact of walking on glycemic control and other cardiovascular risk factors in type 2 diabetes: a meta-analysis.“,PLoS One. 2014 Oct 17;9(10).
#3 Lustman PJ1, Anderson RJ, Freedland KE, de Groot M, Carney RM, Clouse RE,”Depression and poor glycemic control: a meta-analytic review of the literature.“,Diabetes Care. 2000 Jul;23(7):934-42.