「運動前のストレッチは逆効果!」説の真相とは?シンプルな結論につきまとう拡大解釈の危険性

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「運動前のストレッチは逆効果!」説の真相とは?シンプルな結論につきまとう拡大解釈の危険性

「運動前のストレッチは逆効果!」説の真相とは?シンプルな結論につきまとう拡大解釈の危険性

今回は「運動前の静的ストレッチは逆効果!説」についてのお話です。
 
 
まずストレッチについてですが、ここでいうストレッチは「静的ストレッチ」のことで、一般的な伸ばすイメージで間違いないです。一方で「動的ストレッチ」というのもありますが、これは体を動かしながら行うストレッチで、ブラジリアン体操みたいなイメージになります。
 
 
では、世間一般にすっかり浸透したこの説は実際どんなものなんでしょう?参考になる研究データをみていきましょう。
 

過去100件以上の関連研究を総まとめしたメタ分析によると..

2013年にザグレブ大学の教授らが発表したメタ分析(#1)では、1966~2010年までに発表された関連研究104件を集めて、運動前の静的ストレッチは本当にウォームアップとして効果的なのか?の結論をまとめてくれています。
 
 
ここでは運動パフォーマンスとして、筋力や瞬間的なパワーを基準にして、運動前の静的ストレッチがこれらにどんな効果をもたらすか?を検証していく流れでした。
 
 
ではいきなりですが、この総まとめ的な分析からわかったことをざっと見ていきましょう。

 

  • 静的ストレッチは筋力や瞬間的パワーのパフォーマンスを有意に下げてしまっていた
  • こうした結果は年齢や性別、運動の習熟度レベルとは関係なく一貫して見られた
  • しかし一つの部位につき45秒以下の静的ストレッチでは、運動パフォーマンス全般への逆効果は小さかった

 

まとめると、確かに世間一般に広まった説通りの結果が出ていましたが、よく見ると有意な悪影響が出るのは45秒以上伸ばし続けた場合に限るようです。現実的に考えると、一箇所の筋肉をストレッチするのはせいぜい10~20秒くらいなものですし、この結果から「運動前の静的ストレッチは逆効果!」と結論づけるには単純化しすぎなのでは?と思います。
 
 
また研究チームの見解としても、運動前の静的ストレッチ自体を批判しているのではなくて、単体で行うことを避けるように仰っていました。つまり、動的なストレッチと組み合わせつつ体を馴らすのはアリだと考えている、と。個人的にもこの考えには賛成で、一部位にあまり時間をかけ過ぎずに、動的ストレッチでまず体を温めてからやる分には良いのではないかと思います。
 

「運動前のストレッチは逆効果 = 準備運動は不要」という拡大解釈の危険性

そしてもう一つここで主張しておきたいことは、今回の説のようなシンプルな結論には、拡大解釈の危険性がツキモノであるということです。
 
 
私の周りの数人がこの説について「運動前のストレッチは逆効果だから、準備運動はしない方がいいんだよね?」という解釈をしていました。こういう風に解釈してしまうのも無理はなくて、原因は一般に浸透した説がシンプルになり過ぎているからです。
 
 
この点について実際の研究結果から知見を引っ張ってくると、厳密には「運動前の一部位45秒を超える長い静的ストレッチは、単体では筋力やパワーに逆効果だから、動的ストレッチと組み合わせるかどうかして対応しましょう」となります。長ったらしくて読むのが嫌になりそうですが、慎重に中身を汲み取るとこっちの方がより正確です。
 

まとめ

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

 

ポイント
  • 「運動前のストレッチは逆効果!」説はシンプルすぎて誤解を招く
  • 厳密には、「運動前の一部位45秒を超える長い静的ストレッチは、単体では筋力やパワーに逆効果だから、動的ストレッチと組み合わせるなどしましょう」ということ
  • 体が温まる前に静的ストレッチ単体を入念に行う従来のやり方はパフォーマンスに逆効果(45秒以上入念に伸ばすことはあまりないかもしれないけれど..)
 

こんな感じでしょうか。実際は世間で言われている見解とは微妙に違っていましたね。

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赤羽(Akabane)

いずれにしても、静的ストレッチ単体はウォームアップには向かないので、動的ストレッチで体を十分温めてから軽く行うか、運動後やお風呂上りで体がポカポカしているタイミングでやるのが効果的かと。

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参考文献&引用

#1 L. Simic N. Sarabon G. Markovic. Does pre-exercise static stretching inhibit maximal muscular performance? A meta-analytical review. Scand J Med Sci Sports. 2013 Mar;23(2):131-48.