赤羽(Akabane)
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刺激制限療法をモチーフにした「心配スケジューリング」でお悩み対策
まず刺激制限療法についてですが、これは簡単に言うと眠りの妨げになる刺激やアクションを制限する方法。例えば、眠れないのにベッドで頑張って眠ろうとした場合…
- 眠れないけど、眠れるまで粘ろう…
- 「ん~眠れない..」
- 脳が「ベッド≠寝る場所」と認識してしまう
- 段々ベッドで眠気を感じられなくなる
みたいになっちゃいます。こんな時、刺激制限療法を使うなら「とっととベッドから出る!」という行動を取ります。でまた眠くなった時に戻ってくれば、脳に「ベッドでは寝れない」と勘違いさせずに済むんですね。
刺激制限療法の応用「心配スケジューリング」
ではこれを踏まえて本題に入ります。ここからは刺激制限療法の悩み対策への応用テクニックについて。
参考になるのが2013年にイリノイ大学が発表したRCT(#1)で、この実験ではまず心配性傾向が高い男女53名(平均19.9歳)を次の2グループに分けました。
- 心配スケジューリング..一日30分だけ心配事を考える時間と場所を決めて、その時間その場所でだけ考える。この時間外で心配事が浮かんだら手元のタスクに集中して一旦置いとく。
- 心配フォーカス..心配事が逆に気にならないように浮かんだら避けずに向き合う。
で各グループで2週間過ごしてもらって、その実験前後不安感や心配性レベル、抑うつ感や不眠症度などをチェックしたようです。
すると結果は、
- 心配スケジューリングのほうが実験後の不安、心配、ネガティブ感情、不眠症まで改善していた
- うつ症状やポジティブ感情のスコアはグループ間で差がなかった
こんな感じになりました。どうやら心配スケジューリングを使った方が悩み事に苦しむことなくメンタルが晴れやかになるみたい。
しかも不安や心配性傾向については、正式な診断で使われるテストでも効果が表れていたようで、なかなか強力な効果が見込めそうです。
ではなぜ心配事に向き合う時間を設けることで、これ程までにメンタルが改善したのか?研究チームによると、
心配スケジューリングのゴールは、よりハッキリした時間と場所に心配事を関連づけることで、考え事の頻度を減らし、その時その場所でだけ心配事やそれに紐づく感情と向き合うようにすることだ。[筆者訳]
とのことです。つまり、スケジューリングしないと心配事を考える時間と場所があっちこっちに広がっちゃって、常に頭をグルグル悩まし続けちゃうから、決めた時間と場所にまとめましょう!そうすれば悩む時間も頻度もスッキリまとまる!と。
これは刺激制限療法でいう、「ベッドは寝る場所なので寝る以外のことはしない」っていうのと似ていますね。
まとめ
では今回の内容をまとめます。
- 心配事をする時間を先に決めておく「心配スケジューリング」
- 不安や心配、ネガティブ感情などメンタルにも良いかも
- 考えてもしょうがないような心配事は一旦保留して、決めた時間・場所で一気に消化しよう
この辺りを押さえておくとよろしいかと思います。
ただひとつ注意したいのは、心配事と問題解決は別モノです。今回のテクニックは、考えてもキリがなくて、ただ頭をグルグルしているような悩みに使うのをお勧めします。問題解決を先延ばしにするのは良くない場合もあるので..。
赤羽(Akabane)
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#1 McGowan SK, Behar E. A preliminary investigation of stimulus control training for worry: effects on anxiety and insomnia. Behav Modif. 2013 Jan;37(1):90-112.