赤羽(Akabane)
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人工甘味料「スクラロース」は糖質とセットで摂ると太りやすくなるかもしれない
スクラロースといえば人工甘味料の代表格で、砂糖の代用品としてあらゆる飲料・食品に添加されています。
こうした人工甘味料はカロリーオフのダイエット飲料などによく含まれますが、人工甘味料が体に及ぼす影響についてはまだあまりよくわかっていません。この記事では、スクラロースの影響について新たなデータを見ていきましょう。
スクラロースは糖質とセットで摂るとインスリン抵抗性を高めるようだ
2020年にフローニンゲン大学医療センターが発表したRCT(#1)によると、スクラロースは糖質と一緒に摂るとインスリン抵抗性を高めてしまうかも!ということが分かったようです。
この研究では45名の健康な人(20〜45歳)を対象に、彼らをランダムに以下の3グループに分けて2週間を過ごしてもらう実験を行いました。
- 人工甘味料(0kcal):スクラロース入りの飲料を飲む
- 糖質(120kcal):砂糖入りの飲料を飲む
- 人工甘味料+糖質(120kcal):スクラロースとマルトデキストリン(糖質)が入った飲料を飲む
そして実験前後でブドウ糖負荷試験や味覚、fMRIのテストを行って、体の糖質への反応などをチェックしていきました。
すると結果、こんなことが分かったようです。
- 甘味料+糖質グループでのみ、インスリン抵抗性が低下していた
- 脳の甘みに対する感度も低下していた
- 味覚にはどのグループでも変化は見られなかった
まとめると、スクラロースと糖質をセットで摂ったグループでのみ、実験後に血糖値を下げるインスリンや脳の甘みへの感度が低下していたんですね。
ちなみに味覚については甘みの他に、うまみや塩気、酸味への反応も調べていましたが、この辺りは特に変化は確認されなかったみたいです。甘みへの感度だけ落ちた、というのがポイントですね。
ではどうしてスクラロースと糖質の組み合わせでこんな結果になったのか?考えられるメカニズムとしては、スクラロースが甘みを感知する受容体と結びついて、この受容体が糖を体内で輸送する物質を活発にさせることで、糖の吸収が通常のキャパを超えてしまった、という流れが挙げられます。
注意点・まとめ
ただし今回の研究の注意点として、以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 実験は短期間:長期で見た時に変化はどうなるのか?この結果が長期的な健康面にどう影響するのか?は分からない
- サンプルサイズは小さい:数十名の実験なので、今後もヒトを対象にした追試が必要
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 人工甘味料の一種「スクラロース」は糖質とセットで摂ると太りやすくなるかもしれない
- 今回の実験では、スクラロースとマルトデキストリン(糖質)が入った飲料を飲み続けたグループでのみ、インスリンや甘みに対する脳の感度が下がっていたことが分かった
- 普段の食べ物の組み合わせが二型糖尿病や肥満などに影響している可能性が示唆された
個々の食べ物も大事ですが、今回得られた知見からは、食べものの組み合わせも結構大事かもよ!という可能性が示されましたね。
赤羽(Akabane)
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#1 Jelle R Dalenberg et al. Short-Term Consumption of Sucralose with, but Not without, Carbohydrate Impairs Neural and Metabolic Sensitivity to Sugar in Humans. Cell Metab, 31 (3), 493-502.e7.