赤羽(Akabane)
目次
「果糖ぶどう糖液糖(異性化糖)」とは?他の甘味との違いや製造方法、なぜ人気なのか?まで
ではまず果糖ぶどう糖液糖って何?というところから、2008年のレビュー研究(#1)を参考に見ていきましょう。
砂糖の代用品?果糖ぶどう糖液糖とは
果糖ぶどう糖液糖は単糖類の「果糖」と「ぶどう糖」で構成された液状の甘味料であり、ショ糖(砂糖)の代用品として1970年代に食品産業に台頭してきた。[筆者訳](#1)
つまり砂糖の代わりということですが、実は構造的に見てもほぼ同じで、砂糖やハチミツ、濃縮還元のフルーツジュースなんかとも作りや体での代謝経路も同じです。
でこの果糖ぶどう糖液糖は人工的に作られるものなんですが、一般的にはコーンから採れる甘味(コーンシロップ)に酵素反応を起こして異性化させる方法があります。酵素を使うことで、大半がブドウ糖でできているコーンシロップを「果糖」と「ぶどう糖」へと性質を変えていく、と。
ちなみに「果糖ぶどう糖液糖」という名前は「果糖」「ぶどう糖」の割合で順番が変わります。大抵の場合は、果糖が55%でぶどう糖より割合が大きいから、果糖ぶどう糖という順番になりますが、ぶどう糖の方が割合が大きい場合は「ぶどう糖果糖液糖」となるんですね。
- 果糖ぶどう糖液糖…ぶどう糖42%、果糖55%
- ぶどう糖果糖液糖…ぶどう糖53%、果糖42%
では次に果糖ぶどう糖液糖を他の甘味と比べていきましょう。
果糖ぶどう糖液糖をはちみつや他の甘味の構造と比較してみる
さっき挙げたように、果糖ぶどう糖液糖は構造上は砂糖やハチミツ、濃縮還元のフルーツジュースなんかとほぼ変わりません。
ただ、中身を細かく見ていくと炭水化物の構成の割合に次のような違いがあります。
成分 | 異性化糖42 | 異性化糖55 | コーンシロップ | ショ糖(砂糖) | ハチミツ |
果糖 | 42% | 55% | 0% | 50% | 49% |
ぶどう糖 | 53% | 42% | 100% | 50% | 43% |
その他 | 5% | 3% | 100% | 0% | 5% |
水分 | 29% | 23% | 20% | 5% | 18% |
簡単にまとめると、果糖ぶどう糖液糖は果糖とぶどう糖をほぼ1:1の割合で含んでいる点で他の甘味と似ている、ということですね。
では次に果糖ぶどう糖液糖の魅力について見ていきましょう。
果糖ぶどう糖液糖はどうして重宝されるのか?
現代の食品業界は、最早果糖ぶどう糖液糖なくして成立しなくなってきていますが、どうして果糖ぶどう糖液糖はこれほどまでに重宝されるんでしょうか?理由を挙げると、
- とにかく安い:製造にお金がかからないうえにコーンなどから作れるので大量生産が可能
- 色々な飲食品に投入できる:酸性の強い飲料・食品でも構造が安定していて、汎用性が高い
- 扱いやすい:液状で粘っこさもないためタンクローリーなどで運搬が簡単にできる
ザっとこんな感じ。とにかく製造業者としてもコスパは高いし、汎用性も抜群、おまけに甘くて味も良いということで一気に砂糖の代用品として名乗りを上げていきました。
まとめ
以上を踏まえると、果糖ぶどう糖液糖は食品業界にとっては救世主!ということなりそうですが、一体我々の健康にどんな影響があるんでしょうか?
次回は「果糖ぶどう糖液糖は健康にどんな影響があるの?」という問題を詳しく見ていこうと思います。
- 果糖ぶどう糖液糖は別名「異性化糖」とも呼ばれ、コーンシロップなどを酵素反応で「果糖」「ぶどう糖」へと異性化させた液状の糖分
- 安価で扱いやすく、色んな食品へ添加できる汎用性もあって、1970年代から瞬く間に砂糖の代用品として台頭
- 砂糖やハチミツ、濃縮還元のフルーツジュースなど、果糖とぶどう糖を含む他の甘味と構成も似ている
赤羽(Akabane)
関連記事はこちらをどうぞ
「砂糖は太りやすくなるから控えろ!」は科学的に正しいのか?「砂糖は糖尿病のリスクを高める」が、具体的にどのくらい危ないのか?【清涼飲料、炭酸】我々が太る原因の多くは砂糖入りジュースのせいじゃないか?【スポーツドリンク、フルーツジュース】【甘党閲覧注意!】甘いものや飲み物から砂糖を摂りすぎると精神障害になるリスクが高くなる?!80年代から現代にかけて砂糖の摂取量・内訳はどう変化しているのか?参考文献&引用
#1 White JS. Straight talk about high-fructose corn syrup: what it is and what it ain’t. Am J Clin Nutr. 2008 Dec;88(6):1716S-1721S.