赤羽(Akabane)
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熱帯夜でも快眠できるパジャマの材質はどれか?
早速ですが、この問題について最近の参考になるデータを見ていきましょう。
30度の熱帯夜..パジャマの繊維の材質で睡眠の質はどれだけ変わるのか?
これは2019年にシドニー大学が発表したランダム化クロスオーバー試験(#1)で、36名の健康な実年期~高齢男女(50~70歳)を対象に、彼らの睡眠の質をパジャマを替えながら計4日間で測定したものです。
最初の一日は各参加者が睡眠障害などを抱えていないか?をチェックするテスト日で、残りの3日間は次のようなパターンをランダムで試していってもらったようです。
- コットンの寝間着で寝る
- ポリエステルの寝間着で寝る
- ウールの寝間着で寝る
ちなみに寝室は窓がない部屋で、室温は30℃くらいをキープしていた様子。クーラーが欲しくなるレベルの熱帯夜ですね。
そして睡眠中は睡眠ポリグラフィで質の高い睡眠データを取りつつ、アクチグラフィで活動量を測定していって、どのパジャマで最も快眠できているか?を調べました。
すると結果、こんなことが分かりました。
- パジャマの材質で有意な違いが出たのは「入眠時間」と「睡眠ステージの移り変わりや中途覚醒」の2つの項目だった
- ウールで最も入眠までの時間が短く、睡眠ステージが入れ替わるペースもゆったりしていて中途覚醒も少なかった
- 睡眠ステージの移り変わりや中途覚醒が最も激しかったのはポリエステルで、入眠時間が最も長かったのがコットンだった
まとめると、全体的にウールが最も快眠に相応しい繊維材だという結果が出たんですね。細かく見てみると、入眠時間の差は統計的には有意ではなかったりしますが、どちらの項目もウールがベストでした。
また年齢層別で見てみると、どうやら高齢者ほど入眠時間が最も長く、寝付くまでに時間がかかる傾向が見られました。ところがパジャマの材質の効果が一番見られたのが高齢者たちで、ウールだとたった12.4分で寝つけて、ポリエステルやコットンよりも平均10~14分も早く入眠できたみたいです。(12分 vs. 22分 & 27分)
ではどうしてウールでこれ程までに快眠効果が確認されたんでしょう?研究チームはウールの優秀な湿度調節効果がカギだと睨んでいるようで、このお陰で体温調節もスムーズにできて快眠につながったんではないか?と。
注意点・まとめ
前回2016年の研究(#2)に引き続き、今回は高温多湿な熱帯夜、実年~高齢者という条件でもウールのパジャマの効果が確認されました。
研究の質もなかなか高いですが、まだメタ分析のような大規模分析を行うほど研究数がないという点は押さえておくとよろしいかと思います。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 実年~高齢者を対象に熱帯夜の寝室が舞台
- ウールのパジャマはコットンやポリエステルより睡眠の質を高めた
- ウールの湿度調節に優れた機能が影響しているのかもしれない
こんな感じでしょうか。ひとまずはウールが良い!という結論になりそうですね。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Chow CM, Shin M, Mahar TJ. The impact of sleepwear fiber type on sleep quality under warm ambient conditions. Nat Sci Sleep. 2019 Aug 26;11:167-178.
#2 Mirim Shin, Mark Halaki, Paul Swan, et al. The effects of fabric for sleepwear and bedding on sleep at ambient temperatures of 17°C and 22°C. Nat Sci Sleep. 2016; 8: 121–131.