パジャマは厚着すべき?寝ている時の体温や温度調節は「夢を見るかどうか」にどのくらい影響するのか

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パジャマは厚着すべき?寝ている時の体温は「夢を見るかどうか」にどのくらい影響するのか

パジャマは厚着すべき?寝ている時の体温は「夢を見るかどうか」にどのくらい影響するのか

今回は「睡眠時の体温と夢を見るかどうかの関連性」についてのお話です。
 
 
この問題について質問をいただきまして、厚着をしたり温かくして眠る場合と薄着で眠る場合では、どちらが夢を見やすいのか?といった趣旨の内容でした。
 
 
結論を言ってしまうと「体質をはじめ色々な条件によって答えは違う」としか言えないですが、現段階で分かっていることもあります。まずは本題の前に幾つかハッキリさせておきたい定義を確認していきましょう。
 

睡眠と夢に関する重要な定義

夢を見る目的って?

まず「夢を見る」という現象についてですが、ハッキリとした目的は分かっていません。ただ、現状有力な説は「記憶や情報の整理のため」という感じでしょうか。
 

夢って睡眠中のどの段階で見るの?

夢は睡眠中色々な段階で見ることがあるようですが、主にはレム睡眠時によく見ると言われています。この睡眠フェーズでは、ザっと次のような活動が起こります。

 

  • エネルギー消費が起きている時と変わらない位になる
  • 心拍数もちょっと高くなる
  • 記憶の整理が行われる
  • 体温調節の機能がオフになる

 

特に最後の部分は今回のテーマに繋がるので、押さえておくと良さそうです。レム睡眠時は一番室温や寝具などによる温度変化の影響を受けやすいということですね。
 

夢を見るって厳密にはどういう事?

最後に「夢を見る」という行動ですが、人間は基本的に毎日夢を見ているとされていて、厳密に言うと「夢を覚えているかどうか?」の違いです。
 
 
そして夢を覚えていられるかどうか?を左右する要素は無数にあるうえ、まだ分かっていることが少なすぎるので、この点については「よく分からない」としか言えません。
 
 
では以上を踏まえて、本題を見ていきましょう。
 

パジャマの厚着 or 薄着は「夢を見るかどうか」にどう影響するのか?

上で触れたように、どうしたら夢を覚えていられるか?についてはよくわかりません。なのでこの問題については、夢をよく見る【レム睡眠の割合が増える温度調節の条件】について、分かっているコトを見ていきましょう。
 

レム睡眠を増やすために、体温や周辺温度は丁度イイ温度に

最新の研究によると、レム睡眠を増やすには体温は冷やさないようにした方がいいとのことです。
 
 
2019年にベルン大学が発表した研究(#1)は、「メラニン凝集ホルモン(MCH)」という物質がレム睡眠を増やす重要な役割を担っていること明らかにしました。そしてこのMCHは体が冷えてしまうと分泌が落ちることも分かっていて、レム睡眠中は特に体を取り巻く室温や寝具が非常に大事なカギになってくるんだと考えられるんですね。
 
 
実験ではマウスを小さいガラスの部屋に入れて温度を操作していましたが、これをどこまでヒトの環境に落とし込めるか?は正直よく分かりません。言えることとしては、体を冷やさないように温かくして眠った方がレム睡眠を伸ばすには良さそうだという事でしょうか。
 

室温は22℃より17℃、涼しいくらいがベター

今度は室温についてですが、どうやら室温は高温多湿を避けてなるべく涼しくしたほうがレム睡眠にもイイようです。
 
 
2016年にシドニー大学が発表した研究(#2)では、17名の健康で若い男女(平均24.6歳)を対象に9日間の睡眠を測定していった結果、室温は22℃よりも17℃の時で、レム睡眠の割合が長くなることが分かったとのこと。
 
 
この辺りは体温や周辺温度とごっちゃになりやすいところですが、室温は涼しくしつつも、体温は下げ過ぎないように布団や毛布は掛けましょうといったまとめになります。
 

レム睡眠は睡眠時間が短いとその分短くなる

最後は間接的ですが、パジャマは快眠できるモノを選んだ方が良いかも!というお話。
 
 
レム睡眠は睡眠時間が短くなるとその分割合が減っていきます。睡眠のフェーズは大きく2つ「ノンレム睡眠」「レム睡眠」に分けられますが、このうちノンレム睡眠が全体の75%程を、レム睡眠が25%程を占める(#3)と言われています。でノンレム睡眠の波は大きく4回やってきて、その間にレム睡眠が入り込むサンドイッチみたいなイメージになります。

 

パジャマは厚着すべき?寝ている時の体温は「夢を見るかどうか」にどのくらい影響するのか
*筆者の実際の睡眠データを比較
 

ただ重要な点として、ノンレム睡眠のステージが進んで起床時間が迫るにつれて、間にサンドされたレム睡眠の時間も長くなっていくのがポイント。画像でも、睡眠時間が長いパターンの方が終盤レム睡眠が長くなっているのが分かるかと思います。
 
 
こうした理由から、睡眠時間をしっかり確保してレム睡眠を増やすために、自分にとって快適なパジャマを選ぶことは夢を見る為にも良いんじゃないか?と考えられるわけです。
 

まとめ

ということで、夢を見やすくなる温度や体温については分からないので、夢を見やすいレム睡眠の時間を増やすための温度調節にフォーカスしてまとめました。現段階でわかっている知見をピックアップしたものの、上手くまとまっていないかもしれません。
 
 
また今回は「温度調節と夢の関係」に焦点を当てましたが、実際は他にも以下のような要素が複雑に絡み合うので、もっと細かく書けばキリがない感じになってしまいます。

 

  • 年齢、性別など
  • 寝室の温度、湿度
  • 体質など遺伝的要素
  • 睡眠時間と質
  • 前夜に飲酒したかどうか
  • 夢の内容(インパクトや種類)

 

しかも夢については現状分かっていないことが多すぎて、データも限られてきます。その上で今回の内容をまとめるならば、ザっとこんな感じでしょうか。

 

ポイント
  • パジャマ厚着 or 薄着と夢を見るかどうか問題は、睡眠中に体を冷やさなければ夢を見る時間は増えるかも(覚えていられるかどうかは別問題)
  • レム睡眠時には体温調節機能が止まるので、心置きなく記憶の整理をさせてあげる為にも、寝具や室温管理、寝間着で丁度良い体温を保ってあげよう
  • 厚着と薄着どちらが快適か?は体質や環境の違いによるので、試してみて長時間快眠できる方を選ぶべし
 

きっと質問者様が求めていたようなスッキリした回答ではないかと思いますが、少しでもご参考になれば幸いです。

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赤羽(Akabane)

睡眠について、今回のテーマと関連する記事は幾つか書いています。興味がある方は以下の続きも是非ご覧ください。夢に関する研究は奥が深くて面白いなぁ..。

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参考文献&引用

#1 Noëmie Komagata, Blerina Latifi, Thomas Rusterholz, et al. Dynamic REM Sleep Modulation by Ambient Temperature and the Critical Role of the Melanin-Concentrating Hormone System. Current Biology, 2019; 29 (12).

#2 Mirim Shin, Mark Halaki, Paul Swan, et al. The effects of fabric for sleepwear and bedding on sleep at ambient temperatures of 17°C and 22°C. Nat Sci Sleep. 2016; 8: 121–131.

#3 Harvard Medical School. Repaying your sleep debt. accessed on 14th Nov 2019.